自由な発想を大切に、リアルを追求するクリエイターに成長するまで
小学1年生
ブロックだけではつくりたいものが表現しきれない!
もっと自由につくれるデジタルファブリケーションコースへ
飛び抜けて発想力があり、これもつくりたい!とどんどん意見が出てくる、そんな「つくりたいもののイメージが明確な子」がTくんの印象でした。
体験授業に来たときは、ゲームプログラミングには正直あんまり興味を示さなかったです。でも、ものづくりは大好きでお家ではいつも何かブロックでつくっていたそうです。そのためLITALICOワンダーでは、ロボットクリエイトコースにはじめ通っていましたが、つくりたいものが具体的だからこそ、より自由なものづくりができるデジタルファブリケーションコースにコース変更することになりました。
デジタルファブリケーションコースに通いはじめてからは、妹のお誕生日に「おままごとセット」を3Dプリンターでつくったり、家具付きの大きな家の設計をしたりとブロックでは表現しきれなかったTくんがつくりたかったものを、パソコンの画面で図形などを組み合わせて表現していきました。
一方で、Tくんはつくりたいものをどんどんつくっていくタイプだからこそ、細かい部分まで気にしない一面がありました。例えば、家具付きの家を設計した時には、家具同士のサイズ感があっていなかったり、大きくつくりすぎてパーツが取れてしまったりということがありました。
リアルを追求するクリエイターへ
デジタルファブリケーションコースはパーツのサイズが決まっておらず、何もかもが自由だからこそ、細かい設計までこだわって、「よりリアルにつくること」をTくんの次のステップとしておきました。
でも、いきなりサイズをあわせて設計しましょうと言われてもきっと子どもたちの学びはありません。Tくんに対しても、授業の中では、彼が「これでいいんだよ」と言ううちはまず思う通りに設計をして、自分で気がつくような関わり方を目指します。
そして、実際にモデリングして3Dプリンターで出力した実物をみることで、Tくんがつくった家具たちのサイズ感が合っていないことに自然に気がつくことができました。こうして実物を見ながら確かめられるのは、デジタルファブリケーションコースのいいところだと思います。
サイズ感が合っていないと気がついてからTくんには、
① 紙で実物をつくる
② 部屋を想定した空間で並べる
③ 定規で実寸をはかる
④ 測ったサイズでモデリングの設計をする
という4ステップでリアルさを追求したものづくりに取り組んでもらいました。
サイズをしっかり測りながらものづくりをすることで、物体をじっくり観察する力やつくりたいものを精密に表現する力が身についてきていると思います。
最近ではMagicaVoxel(マジカボクセル)という初めてのソフトを使って、ゼロから図形をつくるモデリングにもチャレンジしています。今まで以上にパーツを細かくつくることができるので精密なものづくりができるようになると思います。
「できたーー!」という達成感を味わってほしい。
プログラミングやロボットのコースについては1つの制作物に何日もかけてつくることが多いですが、デジタルファブリケーションコースは簡単なものであれば1回の授業でつくることができる手軽さがあります。だからこそ長期的に計画を立てて、細部までつくりこむ事ができる力を養うことも大切だと普段から考えて、子どもたちと接しています。
そのために、「つくったものシート」の活用をしています。シートでいままでつくったものを書き出して、その先なにをつくるか中期的な計画をつくることで見通しを立てています。
また、子どもによっては自分のできる範囲ややったことのある範囲でつくるものを決める子もいます。そんな子にもっと長いスパンでものづくりをする楽しさを知ってもらうために、子どもたちにつくりたいものをあげてもらい、関連したものをさがすことで作品の幅や深さを拡げる関わりもしています。
子どもたちには1つのことにこだわって「できたーー!」という達成感を味わってほしい。こうしたこだわりを持続することは、大人でも難しいことだと思います。自分が納得するまで没頭して、やりきった経験は必ず子どもたちの自信などの力になると思います。色々な子がいるのでその子にあった関わり方をしていくことはもちろんですが、そんな1つのことにこだわってつくり続ける喜びも育てていくことができればと思います。
メンターよりコメント
Tくんは誰かのためにつくることが好きで、よく妹さんのためにいろいろなものをつくっていました。その中で、さらにこだわったものづくりができるにはどうすれば良いか考え、"印刷してみてからつくりかえていく"というものづくりスタイルができました。
いままでいろいろな形を組み合わせてものをつくってきましたが、Tくんは現在、一からものをつくることにも挑戦しています。一からつくるとデザインの可能性もさらに広がると思います。
これからも、"何度も試行錯誤して、一つひとつのものにこだわりをもってつくる"ということを大切にしてほしいなと思っています。
今は現実にあるもののレプリカなどをつくっている子が多いですが、いつか今の世の中にはない新しいものが生み出されるのかな?とワクワクしています!