公開日:2022.01.10
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子どものインターネット利用の実態から学ぶ利用のポイントとメリット
社会全体でスマートフォンが急速に普及し、それに伴って子どもがインターネットを利用する機会が増加しています。インターネットには気になったことをすぐに調べることができたり、自分の興味・関心についてより深く知ることができたりといった多数のメリットがあり、現代の生活に欠かせないもののひとつだということができるでしょう。
しかし、インターネットの利用にはメリットだけでなく危険な面があることも事実です。この記事では、子どものインターネット利用の実態や、子どもが安全にインターネットを利用するためのポイントなどについて詳しく紹介します。
青少年のインターネット利用の調査結果
まず、現在における青少年(10~17歳)のインターネットの利用状況について、2020年(令和2年)4月に内閣府から発表された「令和元年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」の結果を基にしてみていきましょう。
参考:「令和元年度 青少年のインターネット利用環境実態調査(概要)」
調査対象:10~17歳の青少年(5,000人) 、青少年と同居する保護者(5,000人) 、0~9歳の子どもと同居する保護者(3,000人)
9割以上がインターネットを利用
青少年のインターネットの利用状況(利用率)については、次のような結果でした。
・10~17歳の93.2%がインターネットを利用している
・学校種別の利用率
小学生 86.3%
中学生 95.1%
高校生 99.1%
・インターネットを利用する機器(上位3つ)
スマートフォン 63.3%
携帯ゲーム機 31.2%
タブレット端末 29.6%
この結果から、多くの子どもがインターネットを利用していることがわかります。特に高校生は99%以上の利用率となっており、ほぼ全員が利用していると言うことができる状況です。
また、インターネットを利用する機器としては、スマートフォンでの利用率が最も高いという結果でした。2番目に利用率の高い機器に携帯ゲーム機が入っていますが、インターネットに接続できることを保護者が知らずに子どもに与えている場合もあるため、注意が必要です。
インターネット利用率の変化
インターネット利用率の変化については、次のような結果になっています。
・インターネットの利用率は、2014年から2019年の6年間で15%以上増えている(76%から93.2%へ上昇)
・特に利用率が増えているのは小学生で、約30%増えている(53.0%から86.3%へ上昇)
・スマートフォンやタブレットを使った利用率が上がっている
・パソコンによる利用率は下がっている
インターネット利用率の変化の調査結果から、この6年間で利用率が大きく増えていることがわかりました。特に小学生の利用率が増えていることから、インターネット利用の低年齢化が進んでいると言うことができるでしょう。
また、スマートフォンやタブレットを使った利用率が上昇し、パソコンの利用率が低下していることも着目すべき点です。家や学校などの固定された環境ではなく、どこでもインターネットを使える機器の利用が増えていると考えられます。
インターネットの利用目的
インターネットの利用内容や目的の調査結果は、次の通りです。
・高校生の利用目的
コミュニケーション 90.1%
動画視聴 87.8%
音楽視聴 84.3%
勉強など 53.6%
・中学生の利用目的
動画視聴 84.3%
ゲーム 76.4%
コミュニケーション 75.3%
勉強など 40.9%
・小学生の利用目的
ゲーム 81.7%
動画視聴 72.0%
コミュニケーション 41.8%
勉強など 31.4%
この結果から、年代によってインターネットの利用内容や目的が異なることがわかります。また、いずれの年代にもインターネットによる動画視聴が人気だと言うことができるでしょう。
インターネットの利用時間
インターネットの利用時間についての主な調査結果は、次の通りです。
・インターネットを利用すると回答した10~17歳の平均利用時間は約182分(前年度と比べ約14分増加)
・特に高校生の利用時間が増加しており、平均利用時間は約250分(前年度と比べ約30分増加)
・目的ごとの平均利用時間は趣味・娯楽が最も多く約120分(前年度と比べ約15分増加)
インターネットの利用時間が長く、前年度に比べて利用時間の増加が最も大きいのは高校生という結果でした。また、利用目的で最も多いのは趣味・娯楽であるということがわかりました。
低年齢層の子どものインターネット利用の調査
次に、低年齢層(0〜9歳)の子どものインターネット利用状況についてみていきましょう。青少年(10~17歳)と同様、「令和元年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」の調査結果を基にしています。
0〜9歳の50%以上がインターネットを利用
0〜9歳のインターネット利用率についての調査結果は、次の通りです。
・0〜9歳の子どもの57.2%がインターネットを利用
・年齢が高くなるほど利用率も高くなる傾向にある
3歳の利用率は約50%、9歳の利用率は約80%
・インターネットを利用する機器(上位から)
スマートフォン 31.2%
タブレット 27.4%
携帯ゲーム機 15.1%
0~9歳の小さな子どもであっても、平均で約60%がインターネットを利用していることがわかりました。年齢が高くなるほど利用率も上がりますが、3歳ですでに約50%の子どもがインターネットを利用しています。
主な利用目的は動画視聴とゲーム
インターネットを利用している0〜9歳の子どもの利用内容の内訳は、次のような調査結果でした。
・インターネットを利用している0〜9歳の子どもの利用内容の内訳
動画視聴 89.2%
ゲーム 59.0%
学習など 33.2%
動画視聴が圧倒的に多いという結果になりました。これは、テレビやDVDなどの代わりに視聴しているものと推察されます。
利用時間は平均1時間以上
0〜9歳の子どもがインターネットを利用している平均時間の調査結果は、次の通りです。
・インターネットを利用している0〜9歳の子どもの平均利用時間は約90分
・3歳の平均利用時間は約90分で、9歳の利用時間の約10分と約10分しか差がない
・目的ごとの平均利用時間で最も多いものは趣味・娯楽で約70分
年齢が低くても利用時間が1時間を超えていることがわかりました。
子どものインターネット利用に関する家庭での取り組み
ここでは、子どものインターネット利用に対し家庭ではどのような取り組みをしているのかについて、「令和元年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」の調査結果から詳しくみていきましょう。
インターネット利用時のルール決め
0〜9歳の子どもの保護者のうち、ルールを決めている人は約80%。
0歳から子どもの年齢が上がるにつれ「ルールを決めている」割合は増加傾向にありますが、子どもが10歳以上になると、学年が上がるにつれて「ルールを決めていない」割合が増加しています。
また、学年が上がるにつれて、子どもと保護者の「ルールの有無に関する認識のギャップ」が大きくなっている現状があります。
この調査結果から、子どもが小さいうちはルールが理解できるようになるにつれて、ルールを決める家庭の割合が多いことがわかりました。また、ルールを決めていると回答したのは、子ども、保護者共に小学生が最も多く、中学、高校となるにつれて減少していくという結果が得られています。
利用状況の把握やフィルタリングの設定
スマートフォンを利用している10~17歳の子どもの保護者の約85%が、子どものネット利用を管理しています。
実際に保護者が実施している取り組みは下記の通りです。
・子どものネット利用状況を把握 39.6%
・フィルタリング機能を利用 37.4%
・大人の目の届く範囲で使わせている 35.0%
フィルタリングの存在を「知っていた」保護者の割合は下記のような結果でした。
・0〜9歳:約40%
・10~17歳:約60%
上記の割合は、平成30年度と比較して増加傾向にあります。
子どもの年齢に関係なく、子どものインターネット利用を何らかの形で管理しているという保護者が多数見受けられました。また、フィルタリングの認知についても、過去と比較して増加傾向にあります。これらのことから、保護者の意識が高まっていることがわかると言うことができるでしょう。
大人の目の届く範囲で利用させる
スマートフォンを利用する0〜9歳の子どもの保護者の約98%が、子どものネット利用を管理しています。
いずれの年齢においても、
・大人の目の届く範囲で使わせている
・利用する際に時間や場所を指定している
という管理方法を行なっている保護者が多く存在しています。
フィルタリングや時間制限ではなく、子どもが一人で使わないようにするといった取り組み方をしている保護者が多いようです。
インターネット利用に関する学習の経験
次に「子ども自身がインターネット利用に関してどのような学習経験があるか」について、「令和元年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」の調査結果を基にみていきましょう。
参考:「令和元年度 青少年のインターネット利用環境実態調査(概要)」
10~17歳のうち約90%がインターネットに関する啓発や学習を受けた経験を持っており、学年が上がるほど、学習経験の割合も増えていきます。
子どもたちが啓発や学習を受けた機会は、約98%が学校・幼稚園・保育園などの教育機関でした。
0〜9歳の小さな子どもだと、インターネットに関する啓発や学習を受けた経験は約20%と少なく、年齢が上がるにつれて、学習経験の割合が増加していく傾向にあります。
啓発や学習を受けた機会として1番多いのは、やはり学校・幼稚園・保育園などの教育機関でで約70%でしたが、保護者が関わるケースも多く、約50%という結果が出ています。
この結果から、年齢が上がるにつれて子どものインターネット利用に関する学習の経験が増えていることがわかりました。また学習機会については、10~17歳は教育機関で、0〜9歳の子どもは教育機関、次いで保護者からが多いという結果でした。
子どものインターネット利用のメリット
子どものインターネット利用については、批判的な意見や考え方が多く見受けられますが、インターネットを使うことによるメリットが多数あることも事実です。メリットについて理解しておくことは、効果的な利用方法やリスクの回避方法を考えるきっかけになります。
子どもがインターネットを利用することでどのようなメリットを得ることができるのか、詳しくみていきましょう。
さまざまな情報を得ることができる
まず挙げることができるのが、さまざまな情報を素早く得ることができる点です。検索エンジンに調べたい語句を入力するだけで、簡単に情報へアクセスできます。本や新聞などと違い、時間や場所に関わらず気になったらすぐに調べることが可能です。
手軽にいつでも簡単に情報にアクセスできるという点が、インターネット利用の最大のメリットと言うことができるでしょう。
自分の興味・関心を伸ばすことができる
次に挙げることができるメリットは、インターネットを利用することで、興味や関心の幅を広げることができるという点です。インターネットでは好きなことや興味のあることについての記事を読むことができるだけでなく、関連する動画や音楽を見たり聴いたりすることもできます。
また、インターネット上での学習コンテンツも増えているため、学校の勉強や自主学習に活用することが可能です。興味や関心を伸ばすことができ、学習にも役立てることができれば、子どもの可能性をさらに広げることができるでしょう。
ITリテラシーが身につく
インターネットの利用を通して、ITリテラシーを身につけることができるという点もメリットです。日常的にインターネットを利用する中で、効率的に欲しい情報に辿り着く方法を身につけたり、アプリやWebサービスの利用法について学ぶことができ、自然とITリテラシーを身につけることができるでしょう。
子どものころからITリテラシーを身につけておくことは、インターネット上のリスクを回避するうえでも役立ちます。
子どもが安全にインターネットを利用するポイント
子どもがインターネットを安全に利用するためには、保護者がさまざまな注意すべきポイントを押さえておくことが大切です。
ここでは、子どもが安全にインターネットを利用するためのポイントについて説明します。
利用状況の把握
まず重要なポイントとして挙げることができるのは、保護者や周囲の大人が子どものインターネット利用状況をきちんと把握しておくことです。
携帯電話会社やOS事業者、アプリ開発事業者などから、子ども用スマートフォンの使用状況を保護者が把握できるサービスや、ゲーム機などで利用の管理を行うシステムが提供されています。例えば、子どもがスマートフォンなどでゲームをプレイする場合、保護者のスマートフォンで日々のプレイ状況を確認したり、プレイする時間の長さや時間帯の調整、課金の制限などを行うことが可能です。
それらのサービスやシステムを上手に利用して、子どものインターネット利用状況を把握しましょう。
フィルタリングを活用する
次に挙げることができるのが、フィルタリングの活用です。子どもが使うスマートフォンやインターネットに接続できるゲーム機などのほとんどに、有害な情報やサイトへのアクセスを制限するフィルタリング機能やサービスがあります。
あらかじめフィルタリングを設定しておけば、出会い系サイトやアダルトサイト、暴力的な表現のあるサイトなど、危険なサイトへのアクセスができないようにコントロールすることが可能です。
フィルタリングのレベルを設定することもできるため、子どもの成長に合わせてレベルを変更しましょう。
適切なルール設定と学習機会の提供
子どもが上手にインターネットを活用できるようにするには、家庭内でのルールづくりが不可欠です。
ルールづくりのポイントは、保護者の一方的な押しつけにならないようにすることです。子どもと話し合いながら、利用目的や利用場所、時間帯などのルールを一緒に決めていきましょう。子ども自身が納得して決めたルールだと、子どもも守りやすくなります。
また、併せてインターネット上でのルールやマナー、インターネットに潜む危険性について学習する機会を持つことも重要です。子どもだけではなく、大人も一緒に学んでいきましょう。
ITリテラシーを身につけるならLITALICOワンダーがおすすめ
インターネットの利用だけでなく、これからの時代を生き抜いていくためにはITリテラシーが必要です。教育の場においても、情報セキュリティだけでなくプログラミングの授業が必須化されはじめています。子どものころからIT技術やプログラミングに慣れ親しんでおくことが、ITリテラシーを身につけることに役立つでしょう。
LITALICOワンダー(リタリコワンダー)は、新年長さん〜高校生までの子どもに向けた、プログラミングやロボットなどのテクノロジーを使ったものづくりの機会を提供する「IT×ものづくり教室」です。
ゲームやアプリをつくるコースやロボットをつくるコース、デジタル機器を使ったものづくりのコースなど、子どもの年齢や興味にあわせた複数のコースが用意されているので、楽しみながらITリテラシーを身につけることができます。
まとめ
子どものインターネット利用状況やインターネット利用のメリット、子どもがインターネットを利用する際のポイントなどについて紹介しました。
インターネットには多数のメリットがありますが、一方でリスクがあることも事実です。インターネットの利用方法だけでなく、リスクの回避方法も子どもに伝えていくことが大切になります。
またリスクを回避するためには、大人が利用状況を把握することやフィルタリングを活用することが有効です。子どもと一緒にルールづくりをすることも忘れないようにしましょう。
LITALICOワンダーでは、テクノロジーを利用したものづくりの機会を提供しています。これからの時代に必要なITリテラシーを身につけるきっかけとして、ぜひ参加してみてください。
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監修 LITALICOワンダー編集部(りたりこわんだー へんしゅうぶ)
監修
LITALICOワンダー編集部(りたりこわんだー へんしゅうぶ)LITALICOワンダー編集部では、ITやものづくり、子どもの教育などに関するさまざまな記事を発信します。LITALICOワンダーは、新年長さん〜高校生のお子さんを対象にしたIT×ものづくり教室です。