最終更新日:2022.09.07
公開日:2022.09.02
- ネットリテラシー
ネットリテラシーとは?意味や気をつけるべきポイント・子どもが学べる場所も解説します
今や、インターネットは生活する上で欠かせないツールです。
しかし、情報を調べたり、人と連絡をとったりと便利である一方、トラブルの原因となる可能性も持ち合わせています。
そこで、大切なのが「ネットリテラシー(インターネットを正しく理解して活用する能力のこと)」です。
とはいえ「そもそもネットリテラシーの意味は?」「ネットリテラシーが低いとどうなるのか」など、疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。
今回は「ネットリテラシー」についてわかりやすく解説していきます。また、ネット上で起こり得るトラブルや対策についてもご紹介します。
ネットリテラシーとは
ネットリテラシーとは、「インターネットリテラシー」を略した言葉のことです。
まずは、「リテラシー(literacy)」の意味や、「なぜネットリテラシーが大切と言われているのか」その理由をチェックしていきましょう。
リテラシーとはどんな意味?
リテラシー(literacy)は、英語をそのまま訳すと「読み書きの能力」を表します。
しかし、日本語の「リテラシー」は「正しく理解・解釈して活用する能力」を意味する言葉として使われることが多いと考えておきましょう。
つまり、ネットリテラシーとは「インターネットそのものやそこから得た情報を正しく理解・判断して、適切に活用する能力のこと」を差します。
ネットリテラシーが大切な理由
結論からお伝えすると、ネットリテラシーが大切な理由は「トラブルに巻き込まれないようにするため」と「人を傷つけない(加害者にならない)ため」です。
私たちは日常生活で、スマートフォンやパソコンを使って気軽にインターネットに接続しています。気になる疑問を調べたり、YouTubeを見て新しいわくわくに出会ったり、SNSで同じ趣味の人と交流したり、友だちとメッセージを交換したりしています。
しかし、毎日、当たり前のようにおこなっているからこそ「本人も知らないうちに困った状況になっていた」ということが起こる可能性があります。
例えば、個人情報が見ず知らずの人に知られてしまったり、誤った情報を信じてしまったり、人とのコミュニケーションが上手くいかなくなったり、といったことが考えられます。
上記のような状況を防ぎ、インターネットを上手に扱うために、ネットリテラシーを理解しておくのは大切なことと言えるでしょう。
ネットリテラシーが低いとどうなるの?
ネットリテラシーが低いとどのようなことが起こるのか、いくつかの例をご紹介します。
正しくない情報を信じてしまう
ネットリテラシーが低いと、ネット上の正しくない情報に振り回されてしまうことがあります。
まず、インターネット上の情報は、不特定多数の方が発信しているため、誤った情報が公開されているパターンも見受けられます。
個人情報が特定されてしまう
インターネット上にアップした情報をもとに、個人情報を特定される可能性があります。
その結果、自宅がどこにあるか調べられてしまったり、時にはストーカー被害などに遭うことも考えられます。
とくに、生まれたときから当たり前のようにインターネットがある世代の場合、ついネット上での慎重さが欠けてしまうパターンもあるため、注意しなくてはいけません。
コンピューターウイルスに感染してしまう
怪しいメールやウェブサイトであることに気が付かず、うっかりコンピューターウイルスに感染してしまう恐れが考えられます。
パソコンがウイルスに感染すると、大切な個人情報が外に漏れたり、保存しているデータが消えたりするなどの影響を受けることがあります。
ネットリテラシーを高めて対策をすることで、ウイルス感染のリスクを下げることが可能です。
人間関係が上手くいかなくなってしまう
インターネットの特性を知らないと、人間関係が上手くいかなくなる可能性もあります。
とくに、ネット上でのやりとりは「表情の見える対面での会話に比べて、勘違いが起こりやすい」という部分があるため、慎重さが求められます。
例えば、テンポよく会話が進んでいるときに、見直しをせずに送ったメッセージが、思わぬ誤解を生んで相手が怒ったり、傷ついたりしてしまうことが起こり得ます。
また、送った側の気持ちが正しく受け取り手に伝わらず、関係がこじれることもあるため、ネットならではのコミュニケーションの注意点について学ぶことが大切です。
知らないうちに加害者になっていることも
芸能人やアイドル、クラスメイトの誹謗中傷を投稿したり、広めたりしていると、場合によっては慰謝料を請求される可能性があります。
なかには、「ちょっとした悪ふざけのつもりだった」「正義感からSNSに投稿してしまった」などのパターンもありますが、人の人格を否定する投稿はしてはいけないことです。
また、ネットリテラシーが高くないと「匿名だからバレないと思った」と思ってしまうこともありますが、誰がネット上でどのような行為をしたかというのは、記録が残っています。
さらに、投稿だけでなく、拡散(Twitterのリツイートなど)も同様に加害行為とみなされることを知っておきましょう。
犯罪に巻き込まれる可能性もゼロではない
残念ながら、インターネット上で知り合った人と実際に会ったことにより、誘拐などの犯罪に巻き込まれる事件も起こっています。
まず、ネット上で聞いている年齢や性別、職業などはすべて真実とは限りません。また、会おうとするがためにいい人を演じているだけという可能性も否定できません。
そのため、相手から「会いたい」と言われたときに、子どもが「本当に会ってもいいのか?」と、立ち止まることができなかった場合、危険な状況になってしまうことがあります。
ネットリテラシーに関する教育について
近年、国民全体がインターネットに触れる機会が増えたことから、国もネットリテラシーに注目し、教育の重要性についての情報を公開しています。
では、実際にどのような取り組みがされているかを以下で一部紹介します。
ネットリテラシーの教育取り組み例
実際に、ネットリテラシーの教育のためにどのような取り組みがおこなわれているのか、総務省が紹介している例を挙げていきます。
春のあんしんネット・新学期一斉行動
子どもたちがスマートフォンデビューするタイミングでもある進学・進級時期に学校や自治体、関係者などが協力し、啓発活動をおこなっています。
公式サイトでは、インターネットを使用する上での注意点やポイントがわかりやすくまとめられたリーフレットが公開されています。
サービス事業者の取組(デジタルアーツ社)
有害サイトへのアクセスを防ぐフィルタリングソフトを提供しているデジタルアーツ社は、スマホを使うことで起こり得るトラブルを疑似体験できるアプリを配布しています。
Android端末用と、iOS端末用があり、ダウンロードはどちらも無料です。
アプリでは「スマホを利用することによる被害」について「なぜ起こるのか?」や「トラブルになった結果どうなるのか?」などを学ぶことができます。
大人もネットリテラシーを学ぶべき理由
大人もネットリテラシーを理解することが大切です。
なぜなら「トラブルに巻き込まれる可能性があるのは、子どもだけではないから」です。
また、もう一つの理由に「インターネットに関する知識が少ないと、子どものリスク管理に影響するパターンが考えられるから」があります。
国際ウェブアンケート調査によると、携帯ゲーム機や据置き型ゲーム機などにインターネット機能があることを知っている50代以上の方は、5割を下回っているというデータがあります。
大人が知らないところで子どもがゲーム機でインターネットに接続し、思わぬトラブルに巻き込まれていた、という状況を防ぐためにも知識は必要と言えるでしょう。
子どもがインターネットを利用する上で気をつけるべきポイントは?
子どもがインターネットを利用する上で、気を付けたいポイントについて3つ解説します。
ネット利用のルールを決める
子どもがインターネットを利用する場合、あらかじめルールを決めておくことが大切です。
例えば、下記の例が挙げられます。
- 本名や住所などをネット上で教えない
- ネットで知り合った人と会わない
- ネット上であっても丁寧な言葉遣いをする
- 身に覚えのないメールは開かない(クリックしない)
- わからないことはすぐに大人へ相談する
- 誹謗中傷する内容を書かない・広めない など
とくに、ネット上で出会った人との交友関係に関するルールは重要なポイントです。
子どもには、ダメだと伝えるだけでなく、「どうしていけないことなのか」合わせて伝えてあげるようにしましょう。
個人情報を流さないように意識してもらう
子どもがインターネットを使う上で、注意すべきポイントの一つが個人情報についてです。
「知り合った人に名前や住所を教えない」というのはもちろんのこと、下記のようなインターネットならではの注意点もあります。
- SNSにアップした写真の背景から家を特定される
- SNSに撮影場所が記録されている写真をアップして、住所が知られる
- 自宅の近くで起こった出来事について呟き、生活しているエリアがバレる
- 行きつけのお店について投稿したことにより、生活リズムが知られる など
ネット上では、何気なくアップした写真や呟いた内容から第三者に個人情報を知られてしまう可能性が考えられます。
そのため、情報を公開するときは、一度「危険性はないか」立ち止まって考えることが大切であることを、子どもにもわかってもらいましょう。
匿名ではないと理解してもらう
インターネット上のSNSや掲示板はニックネームで利用できるため、つい「匿名である」と思いがちです。
しかし、実際のところ「誰がどのような発信をしたのか」という情報は残っています。
仮に誹謗中傷のトラブルがあった場合、被害を受けた側は、情報の開示を求めることが可能です。つまり、誹謗中傷した側は、本名の公開や慰謝料請求をされる可能性があります。
この事実を子どもに知ってもらうことは「インターネット上でつい過激な発言をして、人を傷つけてしまった」という状況を防ぐことにも繋がるでしょう。
子どものネットトラブルを回避する方法は?
パソコンやiPad、スマートフォンを使い始めたばかりの子どもの場合、インターネットリテラシーが低いのは当然のことです。
しかし、生活とインターネットは切っても切れない関係性であるため「まったく使わせない」というのは、将来のことを考えても、あまり現実的ではないかもしれません。
トラブルを回避するためには、大人が対策をとりつつ、子どもがインターネットを正しく使えるように見守ることが大切と言えるでしょう。
具体的な方法としては、下記2つの機能を使うことが挙げられます。
ペアレンタルコントロール
ペアレンタルコントロールとは、子どもが使用するスマートフォンやパソコンを保護者が管理するための機能のことです。
具体的には、閲覧可能なサイトを制限したり、課金の制限をしたり、どのくらいゲームをしているのか、などの使用状況を把握したりすることができます。
端末(iPhoneやAndroidなど)によっては、あらかじめ機能が備わっているため、設定すればすぐに使用可能です。その他アプリやソフトを使って、管理するパターンもあります。
フィルタリング
フィルタリングとは、不適切なサイトへのアクセスを制限する機能のことです。
携帯会社によっては、スマートフォン用にフィルタリングサービスを提供していることもあるため、子どもに携帯を持たせる場合は、事前に設定しておくようにしましょう。
また、パソコンの場合は、フィルタリングソフトを使うことで、危険なサイトへのアクセスを防ぐことができます。無料で使用できるものの他、有料で購入するタイプもあります。
子どもがネットリテラシーについて学べる場所はある?
これからの時代、ネットリテラシーを含め、IT(情報技術)に関する知識を身に付けることは、とても重要なことです。
実際に、教育現場でもプログラミングなどの技術が授業で取り上げられています。
子どもの頃から、ITやプログラミングなどに慣れ親しんでおくことは、ITの知識やスキルを身に着けることに役立つでしょう。
LITALICOワンダーは、ゲームづくりなどを通じて、楽しくプログラミング思考や創造力が身に付くプログラミング・ロボット教室を運営しています。東京・埼玉・神奈川・千葉に教室がある他、オンラインレッスンもおこなっているため、全国どこからでも自宅にいながら、学ぶことが可能です。
体験レッスンも開催しているため、興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
ネットリテラシーのまとめ
インターネットは、使い方によっては、「個人情報が漏れる」「コンピューターウイルスに感染する」などのトラブルに繋がることもあります。しかし、調べものをして知識をつけたり、世界中の人と交流できたりと、さまざまなメリットが得られるツールです。
そのため、「ネットは危険なもの」と決めつけて、子どもから遠ざけるのではなく、正しい知識と適切な使い方を学んだ上で上手に活用してもらいましょう。
また、子どもとルールを決めたり、フィルターをつけたりと、あらかじめ想定されるトラブルのパターンに備え、リスクを減らしてインターネットを上手に使っていきましょう。