最終更新日:2022.09.07
公開日:2022.09.02
- STEAM教育
STEAM教育とは?事例や教材、プログラミングの重要性について解説します
STEAM(スティーム)教育は、文部科学省が推進していることもあり、これからの教育方法として、ますます注目されていくのではないかと考えられています。
しかし、「具体的にどのような教育をするのか?」「子どもの将来を考えるとそこまで重要なのか?」など、疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回はSTEAM教育について、内容や事例、似た用語であるSTEM(ステム)教育との違いをわかりやすく解説します。
また、STEAM教育におけるプログラミングの重要性も合わせてお伝えしていきます。
STEAM教育とは
STEAM(スティーム)教育とは、文系や理系といった枠組みにとらわれず、さまざまな情報を活用しながら、課題の発見・解決・社会的価値の創造ができる人材を育てることを目的とした教育概念です。
子どもたちは、STEAM教育を通して、国語や数学などの各教科の学びを軸にしつつ、より横断的に(分野を超えたつながりをもって)、社会で役立つ能力を身に付けられるよう、学んでいきます。
STEAM(スティーム)教育の誕生には、IT技術などの進展や社会の急激な変化により、多様な課題が生まれたことも関係していると考えられています。
アメリカでは、2000年代頃からSTEAM教育の前身となるSTEM(ステム)教育が注目されていました。オバマ前アメリカ大統領が、米国科学アカデミーの演説でSTEM教育の重要性について演説したことも、広まったきっかけの一つと言われています。
日本は、アメリカに遅れをとりつつも、2002年に「STEM教育研究センター」を設置するなど、取り組みをおこなっています。
STEAMの頭文字が意味するもの
STEAM(スティーム)という言葉は、英単語の頭文字を組み合わせてつくられた言葉です。それぞれの頭文字は下記を意味しています。
- S(SCIENCE 科学)
- T(TECHNOLOGY 技術)
- E(ENGINEERING 工学)
- A(ART 芸術)
- M(MATHEMATICS 数学)
STEAM(スティーム)の頭文字を見ると、科学・技術・工学・芸術・ 数学の5つの分野が重要視されていることがわかります。
また、Aには芸術だけでなく、教養を意味する「Liberal Arts(リベラルアーツ)」も含まれています。
STEAM教育とSTEM教育の違い
STEAM教育とSTEM(ステム)教育の違いを簡単に説明すると「A(アート)」の要素があるかないかです。もともと存在していたSTEM(ステム)教育に「A」がプラスされて、STEAM(スティーム)教育となりました。
「A」が付け加えられた理由は、「より結果を出すためには、STEMの要素(科学・技術・工学・数学)だけでなく、創造性(新しく独自性のあるアイデアを生み出すこと)が必要だ」と考えられたためです。
「A」の要素はとても幅広く、音楽や写真、絵画、デザインなどの他、3Dプリンターやグラフィックデザインなども含まれています。
「Liberal Arts(リベラルアーツ)」としての「A」も含めると、文学や歴史、人文科学(人間の文化に関することを学ぶ学問)など、さまざまな学びが当てはまります。
STEAM教育は文部科学省も推進している
STEAM(スティーム)教育は、文部科学省も推進しています。
実際に、公式サイトでは、STEAM教育を推進する具体的な内容が公開されています。
STEAM教育の取り組みの項目には、下記の記載があります。
- 各地の学校の取組や事例などの発掘・見える化
- 教科等横断的な探究活動の推進に関するガイドの作成
- 取組を進めようとする教育委員会等からの相談体制を整備
- 経済産業省など関係機関との連携
すでに、WEBサイトでSTEAM教育の詳細を伝えたり、取り入れ方の例を紹介していたりなど、取り組みがスタートしていることが伺えます。
また、すでに兵庫県教育委員会はSTEAM教育のモデル校を指定して、現場でのSTEAM教育を展開中です。このことは、STEAM教育の事例として文部科学省の公式サイトでも紹介されています。
STEAM教育の教材やおもちゃはある?
STEAM教育は、教育現場においてさまざまな取り組みが行われているようですが、自宅や家庭でも学べるものはあるのでしょうか?
STEAM教育に関連する教材やおもちゃは近年増加傾向にあり、選択肢もたくさんあります。
こちらでは、家庭で活用できる教材やおもちゃをいくつか紹介します。
ワンダーボックス
ワンダーボックスは、毎月届く教材を使い、子どもたちの知的成長をサポートする教育プログラムです。STEAM教育でも大切とされている、思考力・創造力・意欲の3つを引き出すことを目的としています。
毎月届く教材は、子どものワクワクを刺激するアプリとキットのセットです。
また、サイエンス、プログラミング、アートなど、幅広いテーマを扱っている点も特徴です。未知の世界と出会うことは、子どもの知的好奇心を育むことにも繋がるでしょう。
主な対象年齢は4歳(年中・年長)~10歳(小学校3・4年生)です。
mBot(エムボット)
mBot(エムボット)は、考える力を育てるプログラミングロボットです。
特徴は一台で下記の学習ができることです。
- 部品を組み立てて本体を作る
- アプリを使って自由に動かす
- 言語を利用した本格的なプログラミングに挑戦する
また、走るだけでなく、光らせたり、音を鳴らしたりすることも可能です。
プログラミングができるツールとして、種類が豊富なので、小学生~高校生までの学習に使え、「小学生の間だけしか使わなかった」という状況になりにくい点も魅力と言えるでしょう。
公式サイトに記載されている実例によると、小学校の理科や社会、英語などの取り組みで活用される事例も見受けられます。
幅広い教科で使われていることからも、STEAM教育向きの教材であると考えられます。
公式ショップによると、定価は15,400円(税込)となっています。
想像力やプログラミング思考を学べるLITALICOワンダー
LITALICOワンダーでは、年長〜高校生を対象に、最新のテクノロジーを活用したプログラミング・ものづくりが学べる教室です。
ものづくりを通して、技術を身につけられることはもちろん、STEAM教育でも大切な創造性や課題解決力なども身につけるための教材が豊富に用意されているため、一人ひとりの興味や希望、レベルに合わせて楽しくものづくりを学ぶことができます。
また、オンラインで受講できるコースも多数用意されており、近場に教室がない場合でも自宅で快適に学ぶことができます。
STEAM教育の事例
STEAM教育は教育現場でどのように取り入れられているのか、実例を見ていきましょう。
音楽×算数×プログラミングの横断的学習プログラム(Music Blocksの公教育導入実証)
小学校でおこなわれたSTEAM教育の実例の一つに、Music Blocks(ミュージック・ブロックス)と呼ばれる学習ソフトを使った教育が挙げられます。
Music Blocksは、音楽と算数とプログラミングを一緒に学べる学習ソフトです。
音程を整えたり、リズムや楽器を指示するためのブロックを組み合わせたりすることで、プログラミングをした経験がない子どもも、ゼロから音楽を作ることができます。
部活動向け”STEAM Sports”教材開発
部活動向けのSTEAM Sports教材の開発もおこなわれており、複数の中学校や高校が実証に参加しました。
まず、生徒たちは、試合でのパフォーマンスデータの重要性を理解します。
その上で、STEAM Sports教材を使って、自分やチームの過去データを参照しながら、課題を発見したり、戦略を立てたりしていきます。
その結果、部活動を通して、競技力や体力を養うだけでなく、問題解決能力を育成することに期待できると考えられています。
プログラミング教育の需要は今後も高まる?
STEAM教育の中でも重要視されているプログラミングは、2020年から小学校におけるログラミング教育が必修化となりました。
このことからも、将来的にますます注目されていくであろうと予想できます。
また、国や学校がプログラミング教育に力を入れているだけではなく、個人が自宅でロボット学習をしたり、プログラミング学習をするケースも増えてきました。
もちろん「学校の授業に備えて」という面もあると思われますが、ピアノや水泳など他の習い事と同じく、子ども自身が楽しんで通っているケースも多いでしょう。
実際、プログラミングやロボットを扱う民間の教室が増えてきていることからも、世間的にプログラミングのムーブメントが広がり、需要が高まっていると言えます。
STEAM教育におけるプログラミングの重要性について
STEAM(スティーム)教育の中でもプログラミングは重要な位置づけです。
実際に、STEAM教育の教材を提供しているWEBサイト「STEAMライブラリー」には、プログラミングに関する資料がいくつも揃っています。
また、プログラミング学習は、STEAM教育の「T(技術)」の部分にあたるように思えますが、各分野に渡って学べる可能性を秘めています。
例えば、ロボットを作る過程で「E(工学)」、ゲーム制作の過程においてキャラクターを描いたりイラストを動かす中で「A(芸術)」も学べます。その他、組み合わせ次第で、より幅広い分野を楽しめるでしょう。
そのため、もしも「子どもにSTEAM教育を受けさせたいけれど、何から初めて良いのかわからない」と思ったら、プログラミング学習も視野に入れると良いかもしれません。
LITALICOワンダーには、子どもがプログラミングを楽しく学べる環境が整っています。
プログラミングでゲームを作るコースやロボットを作るコースなど、いくつかのコースがあるため、子どもの興味に合わせたレッスンを受けることが可能です。
オンライン・教室(東京・神奈川・埼玉・千葉)ともに、無料の体験授業を実施しているため、STEAM教育やプログラミングに興味がある方は、ぜひ一度お問い合わせください。
STEAM教育の今後の課題
STEAM(スティーム)教育が広がっていく中で、今後「教員の不足」や「学習環境の格差」など、さまざまな課題が出てくることが予想されています。
先生の不足
子どもたちがSTEAM教育を学ぶためには、STEAM教育を理解し、指導できる先生が必要です。
しかし、プログラミング学習などに関しては、子どもよりも大人の方が詳しくないケースもあります。
結果として、すでに多忙な先生たちが、さらに専門的なジャンルについて勉強しなくてはならない状況になることが考えられます。
今後、STEAM教育が全国的に広がるにつれて、STEAM教育をおこなえる先生の不足が目立ってくる可能性があります。
学習環境の格差
STEAM教育をおこなうためには、パソコンやタブレットといった端末が必要になります。
しかし、端末類は数万円するものも多く、STEAM教育の学習環境を整えるためにはお金がかかるケースがあります。
そのため「通っている学校が私立か公立か」「住んでいる市や町が教育に力を入れているかどうか」「習い事をしているかいないか」などさまざまな面が影響し、子どもたちの学習環境に地域格差が生まれる可能性があると言われています。
LITALICOワンダーが提案する「IT×ものづくり教育」の在り方
テクノロジーが進化していく今の世の中で、生活はどんどん便利になり、仕事の内容によっては、ロボットやAI(人工知能)に任せられるものも増えつつあります。
このような時代を生きていく子どもたちは、テクノロジーに関する知識や資格だけでなく、コンピューターにはできない「新しい価値を生み出す力」を身につけることが重要になってきます。
例えば、創造力やテクノロジーを上手く活用する能力などです。
とはいえ、どのようにしてこれらの力を養えばいいのかわからない方も多いはずです。
そこで提案したいのが、子どもの創造力を解き放つ「IT×ものづくり教室」です。
プログラミングやロボットなどのITを学習することは、これからの時代に欠かせない「論理的思考力」や「問題解決能力」を身に着けることに役立ちます。
また「IT×ものづくり教室」で取り扱うのは、デジタルデータです。そのため、子どもたちは、上手くいかないときも、その場で修正・改善し、試行錯誤する力を養えます。
このことは「自分のアイデアを形にできた」という大切な経験に繋がります。
LITALICOワンダーでは、子どもが誰かに教えられるのではなく、自分の力で新しい方法や考えを生み出し、形にすることを大切にしています。
そして、子どもたちの未来の可能性が「IT×ものづくり教室」を通して、ぐんぐん広がることを願っています。
LITALICOワンダーでは無料体験授業も実施中です。
プログラミングやものづくりに興味のあるお子さんやもっと色々作れるようになりたいというお子さん(保護者の方)はぜひ一度、無料体験に参加してみてはいかがでしょうか?
STEAM教育のまとめ
文部科学省が推奨しているSTEAM(スティーム)教育は、これからますます注目されていくであろう教育概念です。とはいえ、STEAM教育が全国的に導入されるまでにはまだ時間がかかるかもしれません。
しかし、すでに「教材やおもちゃを使っての自宅学習」や「プログラミングスクールに通う」など、学校以外でできるSTEAM教育も存在しています。
STEAM教育に興味がある場合、まずはスクールの体験レッスンに参加したり、教材の資料請求をしたりして、子どもが興味を抱きやすい内容を探してみると良いでしょう。