公開日:2023.02.14
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IT人材の不足とは?原因や今後必要とされる人材とは
将来IT業界への就職を考えている方は、「IT人材の不足」や「2030年問題」という言葉を目にしたことがあるのではないでしょうか。
80万人近いIT人材が不足する、といった調査結果が元になっており、その数字の大きさからも大きな話題となりました。
どういった背景で不足が起こるのか、IT人材として就職するにはどうしたらいいのか、といったことが気になる方も多くいるのではないでしょうか?
この記事では、なぜこれほどまでにIT人材が不足すると予想されているのか、また今後需要が増すとされるIT人材について、IT人材になるためにできることなどを紹介します。
IT人材の不足とは?
IT人材が今後不足する、という調査結果がニュースでも取り上げられて話題になったことを覚えている方も多いかもしれません。
これは経済産業省が発表した「- IT 人材需給に関する調査 -調査報告書」に記載されている、IT人材が2030年には最大78.7万人も不足するという調査結果です。
78.7万人という数字から話題になり、2030年問題としてさまざまなメディアでも報道されました。
なぜこれほどIT人材が不足すると言われているのでしょうか。
まずは「IT人材」の定義から説明し、次に「IT人材が不足する背景」について紹介していきます。
IT人材とは?
そもそもITとは「information technology(インフォメーション テクノロジー)」 の略で、日本語では「情報技術」と訳されることが多い言葉です。
インターネットなどの「情報」とコンピュータなどの「技術」を使ったサービスや製品といったものに使われています。IT企業やIT業界といった形でよく使われています。
最近では「ICT(Information and Communication Technology)」という言葉も使われていますが、この記事では「IT」で統一して記載します。
次に「IT人材」ですが、こちらはITを活用する職種を指して使われます。
先ほどの調査報告書では「システムコンサルタント・設計者」、「ソフトウェア作成者」、「その他の情報処理・通信技術者」をIT人材と位置づけています。
Webでの集客などについてのコンサルタントや、ゲームやシステム、Webサービスを開発するプログラマーやエンジニア、インターネットの管理運用をする人たちなどがIT人材といえるでしょう。
さらにこの調査では、IT人材の中にも「先端IT人材」「従来型IT人材」にわかれており、それぞれ今後の需要予測が異なっています。
先端IT人材
先端IT人材とは、比較的最近進歩したIT技術を使い、今後成長が見込まれる分野に携わる職種に対して使われている言葉です。
具体的にはIoT(アイオーティ)、AI(エーアイ)、ビッグデータなどを活用する職種といわれています。それぞれの具体的な説明は後ほどおこないます。
従来型IT人材
従来型IT人材の定義は「先端IT人材以外」となっており、明確に指定はされていません。
今紹介した先端IT人材以外のエンジニア、ソフトウェア開発者、そのほかシステムの運用などをおこなっている職種などをまとめて「従来型IT人材」と呼んでいます。
IT人材の不足
経済産業省の発表したデータでは、2030年に最大78.7万人のIT人材が不足するとされています。
2030年問題といってメディアにも取り上げられたので、ご存じの方もいるかもしれません。
ただ、この78.7万人というのは「高位」という最大の数字です。
将来のIT人材需要は不確実な要素が多いため、予測データはあくまでも「IT需要の伸びが高位だった場合」というように、「高位」「中位」「低位」の3仮定を設けて推計されています。
そのため、それぞれどのくらいのIT人材が不足するのかという数字に幅があります。
この記事では、「中位」の予想である44.9万人という数字をもとに記載していきます。
IT人材の不足はなぜ起こる?
ではなぜIT人材が2030年問題と呼ばれるほど、大きく不足すると予想されているのでしょうか。
それは、IT人材の需要は伸びる反面、必要なIT人材は減っていくと予想されているからです。それぞれを紹介します。
IT人材の需要が高まる
まず需要の伸びですが、こちらは「経済成長」と「企業へのアンケート」によって試算されています。
従来型のIT市場は成熟しているとされていますが、loTやAI、ビッグデータなどの先端IT市場は拡大を続け、2020年代後半には先端IT市場が従来のIT市場を超えるほどに成長すると言われています。
IT人材が減少する
次になぜ減少するかというと、「離職者」が新たな「入職者」を上回る事態が予想されているからです。
離職者には転職などのほかに、65歳以上の方が定年退職することを含んでいます。
高齢化などによって、今から約10年後のIT業界では離職者が新卒などの入職者の数を大きく上回り、IT人材が足りなくなってくると予想されています。
さまざまな見方により数字に幅は出てきますが、今後IT人材の需要が増していくのは共通しているといえます。
今後必要とされるIT人材とは?
IT人材の需要の中でも、今後特に「先端IT人材」の需要が高まっていくと予想されている職種があります。
先端IT人材とは「IoT」「AI」「ビッグデータ」と「情報セキュリティ」などを扱うスキルのある人を指す言葉です。それぞれについて簡単に紹介していきます。
IoT
「IoT(アイオーティ)」はあまりなじみのない言葉かと思いますが、掃除機やエアコンといった家電などをインターネットに接続して便利に活用していくことです。
「Internet of Things(インターネット オブ シングス)」という用語の略で、「モノのインターネット化」などと呼ばれることもあります。
活用例としては、エアコンとスマホアプリを連携させて、外出先でも部屋の温度がわかったり、スイッチの入り切りを操作できたりといったものがあります。
他にも冷蔵庫、洗濯機、炊飯器などの家電がインターネットにつながる例が増えています。
IoT市場は今後も成長が見込まれており、設計や開発をするIT人材の需要も高まると試算されています
AI(人工知能)
AIは「人工知能」とも呼ばれていて、人間と同じように学習していくコンピュータのことです。
人間の動きに合わせて、さまざまな動きをする人型ロボットがたびたびニュースになりますが、そういったロボットにもAIが使われています。
AIが活用されている例はほかにもあり、通販サイトの購入履歴をもとに「おすすめ商品」が表示される機能にもAIが活用されています。
また、AIが使われているお掃除ロボットでは、「家具の配置を覚えて効率的なルートを回る」といったことも可能になっています。
AIも先端ITと位置付けられており、扱えるIT人材の需要も今後増えていくと予想されています。
ビッグデータ
ビッグデータとは、人間では扱いきれない程の大量の情報のことで、このビッグデータの処理や分析を担えるIT人材も需要増が見込まれています。
インターネットが普及し、多くのデータを集めることができるようになりました。
例えばコンビニのレジもインターネットとつながっており、買い物の履歴がデータとして蓄積されています。
このようなビッグデータを分析しサービス開発や宣伝に役立てていくことが重要といわれています。
しかし、データは数千万、数億などの膨大な量に及ぶこともあり、人間の力だけでは分析することが難しくなりました。
そこでコンピュータを活用してビッグデータを処理・分析する必要が生じてきており、ビッグデータに対応できるIT人材の重要性も増してくるといわれています。
情報セキュリティ
インターネットが普及するにつれて、セキュリティの重要性も増しています。
企業への「不正アクセス」や「情報漏洩」などの言葉をニュースで見ることも多いのではないでしょうか。
さまざまなサービスがインターネットとつながり、多くのデータを集めることができることになったことは、同時にリスクが増したともいうことができます。
そこで対策のための「情報セキュリティ」が大事になってきています。
情報セキュリティにはWebサイトなどの弱いところを発見して修正したり、不正アクセスされていないか監視するといった業務があります。
いずれも人間の目だけでは把握しきれないため、コンピュータを扱うスキルを持ったIT人材が必要となってきます。
IT人材になるためにできることは?
ここでは、IT人材として就職するための取り組みについて紹介します。
IT人材といっても多くの種類があるため、ここでは初心者向けに大まかな取り組みの流れを紹介します。
基本的な部分は共通しているため、ほかのIT人材を目指す場合にも応用が利く方法となっています。
目指す分野を決める
IT人材と一口にいっても分野によって必要となる知識やスキル、扱うプログラミング言語などが変わってきます。
先端ITといわれている「ビッグデータ分析」には統計学やマーケティングなどの知識が必要ですし、「AI」にはAI開発に向いたプログラミング言語の取得も大事になってきます。
ほかにも「ゲーム開発」「アプリ開発」「Webサイト作成」などIT人材には多くの種類があります。
自分の興味関心や需要の伸びを考慮しながら、「自分が目指す分野」を決めるようにしましょう。
計画を立てる
IT人材として目指す分野を決めたら、計画を立てていくことが大切です。IT人材として就職するための学習は時間がかかります。
勢いだけで進めていくと途中で壁に当たったときに、諦めてしまうことにもなりえます。
いつ就職したいのか、というゴールから逆算して、いつまでにどういったスキルを身につけるか、そのためには毎日どのくらい学習時間を設けるか、といった計画をしっかりと立てるようにしましょう。
といっても初心者の方にはどのくらい時間がかかるかイメージがつかない場合も多いと思います。
プログラミング言語の場合、プログラミング学習サイトや各種講座で「〇ヶ月コース」などがあるので、目安として活用するのもいいでしょう。
ほかにも資格を取った方が有利になりそうな分野でしたら、資格試験日を中間ゴールに設定するなどの方法もあります。
学ぶ方法を決める
計画とともに学ぶ方法を決めることも大事です。
IT人材として就職を目指す場合の学ぶ方法は「独学」と「誰かから学ぶ」方法があります。
独学
まず独学ですが、目指すIT人材として必要なスキルを参考本や学習サイトなどを活用して学んでいく方法です。
プログラミング言語などスキルや資格試験ごとに多くの種類がありますので、初心者向けのものから段階を踏んで学習していくといいでしょう。
独学の場合はほかの方法と比べて費用が抑えられることや、時間や場所にとらわれることが少ないなどのメリットがあります。
誰かから学ぶ
IT人材として就職するためのスキルを誰かから学ぶ方法として「講座」「プログラミングスクール」などの方法があります。
講座では学ぶポイントを絞り、数週間程度という比較的短期間で学んでいくスタイルが一般的です。
ポイントを絞っているため目指す分野が明確に決まっている方に向いているといえるでしょう。
講座は公的なものや民間のものなど数多く存在しています。
一例として経済産業省の「第四次産業革命スキル習得講座」の中から挙げると、「AIエンジニア講座」「IoTエンジニア養成コース」などが見つかります。
また、こういった講座は教育訓練給付金などの助成を受けることができる場合があるため、初心者にも始めやすくなっています。
プログラミングスクールは、基本的にプログラミング言語や、言語の活用方法ごとにコースが分かれており、それぞれ講師からレクチャーを受けながら数ヶ月かけて学んでいく方法です。「プログラミング教室」などと呼ばれることもあります。
プログラミングスクールによっては通う前にどのようなIT人材になりたいかのカウンセリングがあったり、就職の相談やあっせんもおこなっていたりと、学習以外のサポートが充実している場合が多いことが特徴です。
またプログラミングスクールでも、条件によっては給付金制度が活用できることがあります。
学生の場合
現在学生、特に高校生の場合は進路としてIT人材としてのスキルが学べる学校を選ぶ方法もあります。
学校には主に「専門学校」と「大学」があります。
どちらも学校によってIT業界への就職を視野に入れた学科がありますので、IT人材を目指す方は進路先の選択肢にするといいでしょう。
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IT人材の不足についてまとめ
2030年にIT人材が最大78.7万人不足するという試算が出て、大きな話題となりました。
これほどIT人材が不足する背景としては、IT人材自体の需要が伸びることと、高齢化などによりIT人材の離職者が多くなることと言われています。
IT人材の中でも特に、AIやIoT、ビッグデータ、情報セキュリティなどの「先端IT人材」が不足する予想となっています。
今後IT人材として就職するためには、需要などを考えて目指す分野を決めて、自分に合った方法で学んでいくことが大事です。
最近ではIT人材になるための、さまざまな講座やプログラミング教室などが存在しています。
独学で学ぶのが難しいと感じた場合は、そういった講座やプログラミング教室などを活用しながらIT人材を目指していくといいでしょう。