ロボットで今度こそ世界へ
ロボットテクニカルコースに、普段は違う時間帯で通う二人がいつしかコンビに。
この夏で二度目の共同作品制作にチャレンジ!
黒坂知世(くろさか ともよ)さん
ロボットテクニカルコース・
LITALICOワンダー 渋谷
「習いごとの塾や合気道も好きだけど、LITALICOワンダーが一番好き」。習いごとがない日は古本屋に行って本を探すのがマイブーム。
片岡嗣葉(かたおか つぐは)さん
ロボットテクニカルコース・
LITALICOワンダー 渋谷
ブロック遊びと電車が好き。LITALICOワンダーのほか、サッカー、ピアノまで、習いごとに忙しい毎日。最近一人でもLITALICOワンダーに通えるように。
頭脳派×行動派 ロボット作りのユニット誕生
「分解するの好きなんだよね。基板もねじも集めて袋に入れて取っとくの。分解したらプラスチックごみにも出せるしね」。2年前壊れた時計を初めて分解して、その構造にワクワクした。大人顔負けの理知的でしっかりした口調の知世ちゃんは、小学6年生。ドライバーひとつで、壊れたDVDレコーダー、PC、プリンター…中身が気になるものは何でも分解してみた。そんな時、ママが持ってきたパンフレットを見て「ロボット作り」に興味を持ち、LITALICOワンダーに通うことに。
底なしの好奇心とずば抜けた集中力の持ち主、嗣葉(つぐは)くん。その集中力で、ブロック作りなら大作を2、3日かけて黙々と作り続けた。これを将来何かの役に立てることができたら…それがパパとママの願いだった。電車が大好きで、紙に自分だけの線路を描くのが好き。LITALICOワンダーへ通いはじめの頃は、授業中窓の外を走る電車を教室からずっと見ていたという。
頭脳派の知世ちゃんと行動派の嗣葉くん。
教室で出会った二人はいつからともなく、一緒にロボットを作るようになっていく。
“ロボット界のオリンピック” WROへの挑戦
世界中の小中高生が自分で自律型ロボットを製作し、プログラムで自動制御する技術を競い合う“ロボット界のオリンピック”、WRO(World Robot Olympiad)。2015年夏、二人はこれに挑戦した。テーマは「危険な環境での天然資源発掘作業の手助けになるロボット」。二人は、水圧が高い深海でも人が乗れ、人の手足に代わって作業を行う『しんかい6500』というロボットを仮定し製作。それをプレゼンテーションした。
嗣葉くんはとにかく作っては壊す。作って形ができるとなかなか壊せなくなるように思える部分も、あっさり崩してゼロから始める思い切りのよさは、持ち前の好奇心からだろうか。嗣葉くんのロボット製作を指揮し、思わず納得してしまう圧倒的な情報量の企画書を作り、プレゼンするのは知世ちゃんの役割。「多くの人の前でのプレゼンの練習でも物怖じしなかったのも、恥ずかしがり屋の低学年からは想像もできなかった」とママ。二人の力で、一人ではできないロボットが生まれていく。
見事予選大会を勝ち抜いた二人は全国大会へ。日本で約10組にまで残るも、惜しくも敗退。世界大会を目前に、嗣葉くんは一人泣き、知世ちゃんはしばらく落ち込んだ。
「絶対世界大会に行く」これからの二人
今年の夏、再び二人はWROに挑戦する。テーマは「リサイクル」。今回の世界大会の舞台はインド・ニューデリー。リベンジに燃える二人の照準はもちろん、世界大会。「遠隔操作できるロボットが作りたいんだよね」。口を揃えて構想中の原案を話す二人。まだこの世にないロボットをワクワクしながら空想する姿は、背丈より何倍も頼もしく思えた。
「人間の仕事がいずれロボットに代わる」というニュースを見て「私は作る方になるから」と言った知世ちゃん。
「紙とペンがあったら何ができると思う?」と聞きながら、ニヤリと「無限の可能性」と答える嗣葉くん。
二人の世界に挑む夏はもうすぐそこまで来ている。
WROへのイメージも膨らむ、知世ちゃんの愛読書
世界の理系少年少女が集まる科学のオリンピック「国際学生科学フェア」に挑む、研究に青春をかけた理系少年少女たちを描いたドキュメンタリー。習いごとの合間や時間があるときに読んでいるのだそう。437ページもの分厚い本を持ち歩き、ロボットコンテストへのイメージトレーニングも欠かさない、知世ちゃんらしさが凝縮されたような一冊。