最終更新日:2023.07.18
公開日:2022.11.30
- 人工知能(AI)
人工知能(AI)とは?将来性は?具体例や開発で扱うプログラミング言語も解説します
人工知能(AI)は、近未来のものではなく、すでに生活のなかで活用されている技術です。
しかし「人工知能やAIという言葉は耳にしたことがあるけれど、いまいちどのようなものかわからない」という方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、人工知能の定義や歴史、将来性や身近な導入例について解説していきます。
また、人工知能の開発に興味がある方へ向けて、実際の開発現場で使用されているプログラミング言語もご紹介します。
人工知能(AI)とは?
「人工知能」とは、人間がおこなっている「知的活動(脳を使う活動のこと)」をコンピュータープログラムとして人工的に実現させたものを差します。
AI(エーアイ)と呼ばれることもありますが、これは「人工知能」を意味する英語「Artificial Intelligence(アーティフィシャル・インテリジェンス)」の頭文字をとった言葉です。
人工知能の身近な活用例としては、障害物を避けながら動くロボット掃除機の「ルンバ」や、人間の言葉を認識する音声アシスタント機能の「Siri(シリ)」などが挙げられます。
人工知能と聞くと「もっと先の未来のもの」と思われるかもしれません。
しかし、上記のように、すでにさまざまなものに人工知能の技術が活用されています。
人工知能(AI)の定義
結論からお伝えすると「人工知能」という言葉には、ひとつの決まった定義がありません。
下記の図が表す通り、研究者によって「人工知能とはこういうものだ」という意見が分かれているのが現状です。
一例を紹介します。
- 「知能を持つメカ」ないしは「心を持つメカ」である(京都大学、西田豊明氏)
- 究極には人間と区別が付かない人工的な知能のこと(公立はこだて未来大学、松原仁氏)
出典:総務省
関連して、人工知能に抱くイメージも人によって違いがあります。
総務省が公開している「人工知能(AI)のイメージ(日米)」の情報を見てみましょう。
出典:総務省
上記の図から、日本と米国の就労者の多くが、人工知能を「コンピューターが人間のように見たり、聞いたり、話したりする技術」と認識していることが読み取れます。
また、米国では「人間の脳の認知・判断などの機能を、人間の脳の仕組みとは異なる仕組みで実現する技術」とイメージしている人も多いようです。
その他にも、人工知能は「人間を超える知能を実現する技術」など、さまざまなイメージを持たれていることがわかります。
人工知能(AI)の歴史
人工知能(AI)という言葉が使われたのは、1956年にアメリカで開かれた「ダートマス会議」です。
その後、二度の人工知能ブームがありました。
第一次人工知能ブーム
第一次人工知能ブームが起こったのは、1950年代後半〜1960年代です。
この時期には、パズルのような、決まったルールや答えのある問題を解く人工知能が考案されました。
しかし、いくつもの複雑な問題が絡み合う社会の課題を解決することはできないということが明らかになり、ブームは次第に落ち着いていったと言われています。
第二次人工知能ブーム
1980年代の第二次人工知能ブームには、エキスパートシステムが生み出されました。
エキスパートシステムとは、コンピューターが専門の知識を取り込み、事柄について予想し論じることで、その分野のエキスパート(専門家)のように振る舞うシステムのことです。
しかし、当時はコンピューターが自動的に情報を収集・蓄積することができなかったため、必要となる情報をすべて人間が用意しなくてはいけないなど大変な面もありました。
上記のようなことも影響し、1995年頃から、再び人工知能ブームは去ってしまいました。
第三次人工知能ブーム
現在は、2000年代から続く、第三次人工知能ブームのなかにいます。
第三次人工知能ブームにおいて注目すべきポイントは、「ビッグデータ」と呼ばれる大量のデータを用いて人工知能自身が知識を得る「機械学習」が実用化されたことです。
これにより、第二次人工知能ブームのときよりも、さらに人工知能を活用できる範囲が広がりました。
実際に「機械学習」を用いたサービスや商品もすでに開発されています。
この第三次人工知能ブームは、今後もしばらく続いていくでしょう。
人工知能(AI)の未来・将来性は?
人工知能は、年々需要が高まっていることもあり、将来性のある技術です。
各企業は人工知能を社会に役立てようと、開発にかなり力を入れているため、今後はさらに進化した商品やサービスが生み出されると考えられます。
例えば、介護業界では、高齢化が進むことによる人手不足をサポートできるような、人工知能搭載ロボットが登場するかもしれません。
また、食生活に欠かせない農業の分野にも、すでに人工知能やロボットが導入されています。
ゆくゆくは、より多くの農場で人工知能が活躍したり、さらに農作業の負担を減らしてくれるようなロボットが開発されたりするでしょう。
もちろん、上記は人工知能が活躍するであろう場のほんの一部です。
将来的には、さまざまな業界で、人に代わり人工知能が搭載されたロボットが業務をおこなうようになると予測されています。
人工知能(AI)の日常での活用例や種類とは?
人工知能をより身近に感じるために、日常での活用例を紹介します。
まず、人工知能ができることは、いくつかの種類に分けられます。
- 画像認識(例:画像から人やものを認識する)
- 自然言語処理(例:人間が使う言葉を処理して情報を得る)
- 音声認識(例:人の声を認識して声をテキスト化する)
- 予測(例:データをもとに将来をシミュレーションする) など
実際に、人工知能ができることを活かして、どのような商品やサービスが誕生しているのか見ていきましょう。
ロボット掃除機
ロボット掃除機は、人工知能を活用している代表的な家電です。
有名な商品としては、iRobot社の「ルンバ」が挙げられますが、他にも、パナソニックや日立など、さまざまなメーカーがロボット掃除機を開発しています。
人工知能の搭載されたロボット掃除機は、どこにゴミがたくさんあるのかや、障害物となる家具の場所を認識しつつ、部屋中を掃除することが可能です。
また、ゴミを吸い取るだけでなく、フローリングなどの拭き掃除に対応しているものも見られます。
音声アシスタント機能
音声アシスタント機能は、人の声を認識して「明日の天気は?」などの質問に答えてくれたり、「音楽を流して欲しい」などの指示を実行してくれたりする機能のことです。
例えば、iPhoneやiPadなどに標準搭載されている「Siri(シリ)」や、Google社が開発した「Google アシスタント」などに、人工知能が搭載されています。
エアコン
人工知能が搭載されているエアコンは、人の活動による体温の変化や、部屋の温度の変化を察知して、自動的に運転モードの調整をしてくれます。
そのため、人がわざわざリモコンで操作しなくても、常に快適な室温に保つことが可能です。
カーナビ
カーナビの商品のなかには、人工知能を活用しているものもあります。
例えば、(株)ナビタイムジャパンのアプリ「カーナビタイム」は、過去の走行データ(高速道路の利用率や渋滞回避率など)を分析することにより、ドライバーの好みに合わせたルートを教えてくれるサービスです。
また、到着予想時刻においても、ドライバーの運転速度を分析することで、より精度の高い所要時間を算出してくれます。
人工知能(AI)の開発で扱われているプログラミング言語は?
プログラミング言語とは、人工知能だけでなく、Webサイトやアプリ、ゲームやロボットなど、さまざまなプログラムを書くための言語のことです。
プログラミング言語には、多くの種類があり「何を開発するのか」という目的によって、向いている言語が異なります。
ここでは、人工知能の開発でよく使われているプログラミング言語を3つご紹介します。
Python(パイソン)
Pythonは、人工知能開発に向いているプログラミング言語として知られています。
特徴は、サービスやシステムの開発に役立つライブラリ(あらかじめ特定の機能がまとめられているもの)が充実している点です。
例えば「機械学習ライブラリ」などをうまく活用することで、効率良く人工知能の開発作業をおこなうことができます。
また、Pythonは文法がシンプルでわかりやすいため、習得難易度が高すぎず、プログラミング初心者にとっても学びやすい言語と言えるでしょう。
Julia(ジュリア)
Juliaは近年人気が高まりつつあるプログラミング言語です。
文法がシンプルであるため、初心者でも読み書きしやすい言語と言われています。
ただし、誕生してからの歴史が浅く、まだ使用している人が少ないため、Pythonに比べて書籍やネット上の情報は少ないのが現状です。
そのため、プログラミング初心者の場合は、独学しにくい可能性が考えられます。
C++(シープラスプラス)
C++は汎用性が高く、人工知能だけでなく、Webアプリや家電の組み込み系システムなど、幅広いサービスや商品の開発に使われているプログラミング言語です。
上記のように、さまざまな業界で需要がある一方、習得するのは難しいと言われており、プログラミング初心者が最初に学ぶ言語としてはあまりおすすめできません。
もしも、どうしてもC++を学習したい場合は、プログラミング教室やオンラインスクールなどの活用も選択肢に入れるといいでしょう。
これからの時代でプログラミングが大切な理由とは?
これからの時代を生きていくなかで、プログラミングを学ぶことが大切な理由について解説します。
人工知能を作る側として活躍できる
「人工知能の技術が発展すると、人の仕事がなくなってしまう」と耳にしたことのある方もいらっしゃるかもしれません。
たしかに仕事によっては、ロボットが代わりにおこなうことにより、人の手が必要なくなってしまう可能性も考えられます。
しかし、人工知能を「作る側」の仕事が消えることはありません。
今後も、テクノロジーを活用したり、人工知能を作る側の仕事の需要が高まっていくと予想されています。
そのためには、プログラミングスキルが非常に重要な要素となるでしょう。
コンピューターやシステムを理解できる
たとえ、プログラマーやエンジニアなどのプログラムを扱う職業に就かない場合も、プログラミングについて学習する価値は十分にあると言えます。
なぜならすでに、ほとんどの業界において、パソコンやシステムといったテクノロジーが活用されているからです。
また、今後はますます導入されていくと考えられます。
このような社会であっても、コンピューターの仕組みを理解していたり、パソコンなどの機械に苦手意識がなかったりする場合、より柔軟に対応することができるでしょう。
子どもの頃からプログラミングを学ぶメリットとは?
子どもの頃から、ゲームやロボットなどを通してプログラミングに慣れ親しむことは「コンピューターに対して苦手意識を持ちにくい」や「学校で本格的なプログラミング学習が始まったときに理解しやすくなる」などのメリットが得られます。
また、プログラミング学習のなかで、ロボット作りなどのものづくりをおこなうことは「創造力(0から1を生み出す)」を養うことにもつながります。
この「創造力」は、人工知能やロボットにはない力です。
まさに、人工知能の導入が進む時代だからこそ、身につけたい力とも言えるでしょう。
実際に、子ども向けのプログラミング教室のなかには、この「創造力」を重視している教室も多数見られます。LITALICOワンダーもそのうちのひとつです。
LITALICOワンダーのプログラミング・ロボット教室
LITALICOワンダーは、「IT×ものづくり」をテーマにした、プログラミング・ロボット教室です。
ゲーム作りやロボット作りなど、子ども一人ひとりの「やってみたい」を大切にしつつ、創造力や自己表現する力、失敗を恐れずチャレンジする力などを育成できる環境を整えています。
東京・神奈川・埼玉・千葉にある教室の他、全国各地からオンライン授業も受講可能です。
人工知能(AI)についてまとめ
人工知能は、ロボット掃除機や音声アシスタント機能など、すでに生活の中にも取り入れられている技術です。
今後、人工知能の実用化が進むにつれて、身の回りの商品やサービスとして役立つだけでなく、人の代わりにさまざまな仕事をおこなうようになるでしょう。
一方、人工知能やロボットを生み出す側の仕事は、人工知能の導入が進むにつれて、より必要とされていくと予想されます。
そのため、もしもプログラミングや人工知能に興味がある場合、人工知能の開発に向いているプログラミング言語(Pythonなど)を習得することも視野に入れるといいでしょう。