最終更新日:2023.07.18
公開日:2022.12.23
- ドローン
- 免許
ドローン免許とは?国家資格はいつから?費用・料金も解説します
テレビや映画・ニュースなどで、ドローンで空から撮影された映像を目にすることが増えたのではないでしょうか。
今や3,000円程度で購入できる低価格なドローンも登場し、個人でドローンを使った空撮を楽しむ方も増えてきました。
しかし、最近ドローンに関する国家資格ができたこともあり、「ドローンって資格が無いと飛ばせないの?」「ドローンの国家資格ができたことで何が変わったの?」といった疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ドローンの免許がなくても飛ばせる条件の解説や、ドローン免許の取得にかかる料金や費用、免許の種類などについて紹介します。
ドローン免許とは?
ドローンを飛行させるには、航空法などの法律や条例によって定められたルールを遵守しなければなりません。
その法律や条例ではドローンを飛行させる条件が細かく制限されているため、ドローンの操縦にはある程度の知識やスキルが必要になります。
ドローンを操縦するための知識やスキルは、国家資格として認められた免許や民間資格によって証明できるようになっています。
そもそもドローンってなに?
ドローンとは、人を乗せず、遠隔または自動制御で操縦できる航空機のことを指します。
ドローンではなく「無人航空機」という名称で呼ばれることもあります。
ドローンといえば、小型でプロペラが4つ付いたものをイメージされる方も多いのではないでしょうか。
ただ飛行するだけでなく、安定して浮遊しながら自在に移動できるのがドローンの特徴です。
趣味としてドローンを使用する場合だけでなく、カメラを搭載した空撮用のドローンや、農薬散布など産業用として使用されるドローンなどもあります。
災害時には人が立ち入ることのできない場所の状況把握として活用されることもあり、近年ますますドローンに注目が集まっています。
一方で墜落などの事故や、テロなどの事件の危険性が想定されることもあり、ドローンの飛行にはリスクが伴うものでもあります。
そのため、法律や条例によってドローンを操縦する条件が制限されていますが、基本的に免許や資格が無くてもドローンを飛ばすことは可能です。
ただし、飛行条件によっては免許が必要になることがあります。飛行条件については後の章で詳しく解説していきます。
ドローンの免許や資格の種類
2022年12月4日以前には国家資格としてのドローン免許というものは無く、ドローンを操縦する知識やスキルを証明できるのは民間の団体が認める資格のみでした。
しかし2022年12月5日からは国家資格としてのドローン免許制度が導入されたため、現在ドローン操縦に関する免許や資格は大きく分けて、国家資格と民間資格の2種類があります。
国家資格としてのドローン免許を取得するということは具体的には、国土交通省が発行する「無人航空機操縦者技能証明書」を取得するということになります。
この「無人航空機操縦者技能証明書」は、国土交通省が指定する機関で実施される試験に合格することで取得できます。
さらに国家資格のドローン免許は、「一等無人航空機操縦士」と「二等無人航空機操縦士」との2つに区分されています。
一方で民間資格としてのドローンの資格は、さまざまなドローンスクールがそれぞれ独自で認定している資格になります。
ドローンスクールとは、ドローンに関する知識やスキルが学べるスクールです。全国各地にさまざまなドローンスクールがあり、数多くの種類の資格が存在しています。
- 国家資格(無人航空機操縦者技能証明書)
一等無人航空機操縦士
二等無人航空機操縦士
- 民間資格
全国のドローンスクールそれぞれで発行
ドローンの免許や資格は必要なの?
免許がないとドローンを飛ばせないと勘違いされる方が多いですが、ドローンを飛ばすのに免許や資格は必要ありません。実は誰でもドローンを飛行させることができるのです。
しかし、国土交通省の「飛行許可・承認申請」無しではドローン飛行ができないエリアがあったり、ドローンを飛行させる環境や条件に制限があったりするため、簡単にはドローンを飛ばせない場合があります。
そのため、ドローンの飛行に関する知識やスキルが無いと、知らず知らずのうちに法律に違反してしまうおそれや、事故を起こしてしまう危険性があります。
ドローン飛行に関する法律や条例を熟知し、安全に操縦できることが重要です。
また、ドローンを飛ばすには免許取得は必須ではありませんが、免許を持っていることで本来は飛行許可・承認申請が必要な飛行についても申請が不要になります。
この点が、ドローンの免許を取得する大きなメリットです。
ドローンの飛行条件はやや複雑な内容であるため、ここからは承認申請が必要な飛行に関してさらに詳細に解説していきます。
ドローンの飛行許可が必要なケースは?
基本的に、飛行が規制された領域(=特定飛行)で100g以上のドローンを飛ばす際は、国土交通省の飛行許可が必要です。
「特定飛行」とは、ドローンを飛行させる空域または飛行の方法が、以下に該当する場合の飛行を指します。
飛行の空域
- 空港等の周辺の上空の空域
- 警察、消防活動など緊急用務をおこなうための空域緊急用務を行う航空機の飛行の安全を確保するために指定する空域
- 地表または水面から150m以上の高さの空域
- 国勢調査の結果を受け設定されている人口集中地区の上空
出典:「無人航空機の飛行許可・承認手続 」(国土交通省)(22年12月21日に利用)
飛行の方法
- 夜間飛行(日没後から日出まで)
- 目視外で飛行
- 第三者または第三者の物件との間の距離が30m未満での飛行
- 祭礼、縁日など多数の人が集まる催し場所の上空での飛行
- 爆発物など危険物を輸送する飛行
- 無人航空機から物を投下する飛行
出典:「無人航空機の飛行許可・承認手続 」(国土交通省)(22年12月21日に利用)
また、ドローンの飛行リスクに応じた下記3つのカテゴリーごとに、飛行許可の手続きが異なります。
飛行許可の手続きについては、次の章で詳しく説明します。
国家資格と民間資格の違いは?
国家資格と民間資格での一番の違いは、国家資格(一等無人航空機操縦士)を取得するとレベル4(有人地帯)での飛行ができるようになるという点です。
民間団体が独自のライセンスを発行している資格を保有している場合、レベル1~3までの飛行が可能です。
また、国家資格(二等無人航空機操縦士以上)を取得すると、これまでは国土交通省の許可が必要だった飛行が許可無しでも飛行させることができる点も、民間資格との違いです。
国家資格を取得していることでできるドローン飛行の条件は次のように定められています。
国家資格を必要としないドローン飛行のみを行うのであれば、民間資格も必須ではありません。
ドローン免許の国家資格はいつから?
ドローン免許の国家資格は2022年12月5日から導入が開始されています。
国家資格を取得するためには、国土交通省が指定する機関で試験を受ける必要があります。
試験では身体検査、学科試験、実地試験が行われ、すべて合格すると技能証明書が交付される、つまりドローン免許が取得できることになります。
また、この技能証明書の有効期間は3年とされています。
国が講習機関として登録した民間のドローンスクールで、講習を受講し修了した場合は実地試験が免除になります。
また、学科試験ではドローン飛行に関する法律や条例など専門的な知識が必要とされるため、民間のドローンスクールでの講習を受けておくことも国家資格取得のためのメリットとなります。
ドローン免許の費用・料金は?
国家資格、ドローン免許の費用
国家資格のドローン免許である「無人航空機操縦士試験」の受験には手数料がかかります。
試験では学科試験、実地試験、身体検査がおこなわれ、すべて合格すると技能証明書が交付されます。
学科試験、実地試験、身体検査のそれぞれで手数料がかかるので、受験を考えている方は自身が受験する試験の費用を計算しておきましょう(国が講習機関として登録した民間のドローンスクールにて講習を修了した場合は、実地試験が免除になるため手数料もかかりません)。
まず、学科試験の受験にかかる手数料は次の通りです。
実地試験の手数料は、機体の種類や試験の種類によって異なります。
※表内の重量は、操作するドローンの機体の重量
最後に、身体検査にかかる手数料についてです。
身体検査の受検方法は、書類か会場での受検かに分かれます。下記いずれかの書類を提出した場合は書類での受検が可能です。
- 自動車運転免許証(自動二輪免許、小型特殊免許及び原付免許を除く。)
- 指定航空身体検査医による航空身体検査証明書
- 無人航空機操縦者技能証明書
- 医師の診断書(指定の様式あり)
民間資格、ドローン資格の費用
民間団体によるドローンの資格を取得するにはどれくらいの費用がかかるのか、ドローンスクールの受講や資格取得に必要な料金を解説します。
ドローンの民間資格は、以下のような民間団体が発行しています。
- 無人航空機操縦技能証明証(JUIDA)
- 一般社団法人ドローン操縦士協会(DPA)
- DJI CAMPスペシャリスト
- IAU無人航空機技能認証
さらにこれらの団体が認定したさまざまなドローンスクールが全国各地にあります。
ドローンの資格を取得するために必要な費用は、ドローンスクールごとに異なります。
いくつかの民間団体やドローンスクールの例から、およそどれくらいの費用がかかるのか見てみましょう。
※下記の費用は、各民間団体の公式サイトなどで確認できた限りのものになります。実際には記載以外の費用がかかる可能性もありますので各スクールにご確認ください。
ドローンの資格は子どもにも取得できる?
国家資格であるドローン免許は16歳以上から申請が可能になっているため、16歳に満たない子どもは取得ができませんが、民間資格であれば子どもにも取得できるものがあります。
下記の民間資格は、取得の年齢制限がないため子どもにもドローンの資格を取得することができます。
- 日本ドローン協会の認定資格
座学と実技講習を受講し、修了者に資格取得の証明書が発行される
※小学生は保護者同伴、中学生・高校生は保護者の同意書が必要
- ドローン検定の資格
筆記試験のみの検定で、試験に合格することで資格取得の証明書が発行される
子どもがドローンで遊ぶメリットとは?
小さいころからドローンで遊ぶことは、教育の面でもメリットがあります。
ドローン免許が国家資格として取得できるようになったことで、物流業界や映像業界など、ドローン操作のスキルが活きる仕事が今後増えてくることが予想されます。
また、ドローンはプログラミング教育にも活用することができます。
ドローンは手動で操縦するものだけでなく、プログラミングによる自動飛行ができるものもあるので、ドローンで遊びながらプログラミング的思考を身につけることができます。
2020年度から小学校でのプログラミング教育が必修化されたこともあり、子どものうちからプログラミング的思考を身に付けることが重視されています。
ドローン免許についてまとめ
今回はドローンの国家資格や、民間団体で取得できる資格について紹介しました。
国家資格のドローン免許も、導入されたばかりなのでこれから変わっていくこともあるかもしれません。
免許のハードルが少し高いと感じられた方や子どもには、免許がなくても楽しめる小型のドローンや、子ども向け玩具用のドローンもあります。
自動操縦できるドローンのようにプログラミングが学べるタイプのドローンもあり、子どものプログラミング教育にも活用できます。