最終更新日:2022.09.07
公開日:2022.09.02
- プログラミング小学校
小学校のプログラミング教育とは?必修化のねらいや内容、小学生におすすめの言語や教材も解説します
2020年から小学校でのプログラミング教育が必修化されました。
しかし「具体的にどんな教育をしているの?」や「プログラミング教育必修化の目的は?」など、疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は小学校のプログラミング教育の内容や目的について解説していきます。
また、プログラミング教育を受けるメリットや小学生におすすめのプログラミング言語、プログラミング教育に備えるための勉強法(教材)もご紹介します。
小学校のプログラミング教育とは?
まずは、小学校のプログラミング教育がどのようなものなのか、概要やねらいについて見ていきましょう。
文部科学省の情報をもとに、わかりやすく解説していきます。
小学校のプログラミング教育のねらい
文部科学省が公開している「小学校プログラミング教育の手引(第三版)」によると、小学校のプログラミング教育の目的は、大きく分けて3つです。
①プログラミング的思考を育てる
プログラミング的思考とは「自分が実現したいことに向けて、論理的に考える力」のことです。
コンピューターに指示を出す(プログラムを書く)上で重要なポイントであるため、今後、中学校や高校でプログラミング学習をするときの基礎にもなります。
また、プログラミング的思考は、プログラミングをおこなうときだけでなく、「目的地までの最適な経路をネットで調べて考える」など、生活のさまざまな面でも活用できます。
仕事においても同様であるため、たとえIT業界に就職しない場合であっても役立ちます。
実際に、「小学校プログラミング教育の手引(第三版)」にも「子どもたちが将来どのような職業に就くとしてもプログラミング的思考を育むことは大切」だと書かれています。
しかし、プログラミング的思考は、意識したからといってすぐに身につくものではありません。
そのため、発達段階に合わせて学んでいくことが大切だと考えられています。
②プログラミングの働きやよさに気付いてもらう
子どもたちに、プログラミングの働きやよさを知ってもらうことも、小学校でのプログラミング教育の狙いの一つです。
例えば、体験や学習を通して下記のようなことに、気付いてもらえるよう働きかけます。
- 情報社会はプログラミングなどの技術によって支えられている
- プログラムは人間が作っている
- コンピューターにはできることとできないことがある
- コンピューターに処理をさせるには手順を踏まなくてはいけない など
また、プログラミングなどの技術を上手く活用し、社会問題を解決に導こうとする姿勢を育むことも目的とされています。
③各教科の学びをより確実なものにする
各教科の中でプログラミングを扱う場合は、「より確実な学びに繋げること」を目的としています。
例えば「算数の授業の中で図形について学習する際に、プログラミングによる作図方法を知ることで、より確実に図形の性質を理解することを目指す」などが挙げられます。
小学校のプログラミング教育のねらいについては下記記事でより詳しく解説しています。
目的はプログラミング言語の習得ではない
プログラミング教育と聞くと、「英数字のコードを理解する」とイメージしがちですが、小学校のプログラミング教育においては、プログラミング言語の習得そのものを目的にはしていません。
このことは、手引書にもはっきりと記載されています。
つまり、「小学校の生徒全員をIT業界で活躍するプログラマーに育てようとしているわけではない」ということを知っておきましょう。
「プログラミング」という教科ができるわけではない
勘違いされがちなポイントですが、プログラミング教育が小学校で必修化されたといっても、「国語」のように「プログラミング」という教科ができたわけではありません。
すでにある教科の中で、プログラミングも一緒に学ぶようなイメージです。
具体的な例として、手引書の中では、小学校5年生の算数の授業が挙げられています。
この授業では、正三角形の意味(三つの辺と角度が等しい)を、プログラミングを通して確認します。
また、正三角形の作図を、分度器と定規を使った場合と、プログラミングを使った場合の両方でおこない「プログラミングを使えば、手動の場合よりも正確かつ簡単に図が描ける」ということに気付かせるねらいがあります。
他の具体的なプログラミングの授業内容は、後ほど事例を挙げてご紹介します。
小学校のプログラミング教育はいつから?
小学校のプログラミング教育がはじまったタイミングについて解説していきます。
2020年から小学校でプログラミング教育が必修化に
小学校におけるプログラミング教育は、2020年に必修化されました。
プログラミング教育の必要性については、2016年の段階ですでに文部科学省の中央教育審議会において話し合われていました。
その後、学校へ周知するなどの準備期間を経て、いよいよ2020年度から導入となりました。
2020年からのプログラミング教育必修化についての基本的な情報は下記をご覧ください。
ゆくゆくは大学入試にプログラミングが登場する?
中学校では、2021年にプログラミングに関する授業がより充実した内容へと変更されました。
また、高校では、2022年からプログラミング教育が必修化され、すべての生徒がプログラミングを学ぶことになりました。
さらに、プログラミングを含む「情報」という科目を大学受験の項目に追加することも、すでに検討されています。
つまり、プログラミング教育は、小学校に通う間だけでなく、今後の進路を考える上でも重要な要素となることが予想できます。
小学校のプログラミング教育の内容は?
小学校のプログラミング教育では「必ずこの授業をする」という決まりがないため、文部科学省が公開している事例を元に、各小学校が判断して授業を進めていきます。
例えば、つくば市立みどりの学園義務教育学校の六年生の授業を見てみましょう。
実例:みんなの家!未来の家!
「みんなの家!未来の家!」は「住みやすい家にするためには、どのような仕組みがあれば良いか、考えた内容を教育版マインクラフト上で実現する」という取り組みです。
この授業では、主に下記3つの面での学びが目標に設定されています。
①知識・技能面
教育版マインクラフト(ブロックを組み合わせて建築物を作るモノづくりゲーム)の基礎的な操作を学ぶ。トライ&エラーを繰り返しながら、プログラミングの理解を深める。
②思考力・判断力・表現力など
住みやすい家について考えて、実現する。
③学びに向かう力・人間性など
未来の家づくりを通して、将来的なプログラミングの必要性を感じる。
また、グループごとにアイデアを発表し合ったり、住宅メーカーの積水ハウスからアドバイスをもらったりと、人とコミュニケーションをとる場面が見られることからも、プログラミングだけでなく、さまざまな学びに繋がる可能性を秘めていることがわかります。
その他の実例について知りたい場合は、文部科学省が運営しているサイト「小学校を中心としたプログラミング教育ポータル」で見ることができます。
小学生がプログラミング学習をするメリットは?
小学生がプログラミング学習をするメリットは、社会で役立つ思考やスキルを身につけられることです。
具体的には、問題解決能力や発想力、創造力などが挙げられます。
また、小学生のうちからプログラミングに慣れ親しむことで、将来の選択肢が広がる可能性にも期待できます。
社会で役立つ思考やスキルが学べる
小学生がプログラミング学習をすることは、社会で必要とされる下記の思考やスキルを学ぶことに繋がります。
- 発想力(アイデアを出す力)
- 創造力(ゼロから生み出す力)
- 問題解決能力(トラブルを解決する力)
- 計画性(計画を立てて実行する力) など
これらは、プログラミングをする上で必要なだけでなく、仕事や生活においても役立つ思考やスキルであると考えられます。
今後、IT化が進む時代を生きていく上でも、機械に代替できない発想力や創造力を身につけることは、とても重要なことだと言えるでしょう。
将来の選択肢が広がる
小学生のうちからプログラミングに慣れることで、将来の選択肢を広げることに期待できます。
プログラミング関係の知識やスキルを活かせる仕事は、IT業界のプログラマー以外にもたくさんあります。
- ゲームプログラマー(ゲームを作る仕事)
- アプリを開発する仕事
- WEBサイトを作る仕事
- ロボットを開発する仕事
- サイトの運用や保守をする仕事 など
すでに、さまざまな業種や会社で、プログラミング知識のある人材が求められています。
小学生の頃からプログラミング知識を得ることで「ゲームを開発する人になりたい」と思うきっかけができたり、「大学でもっと本格的にプログラミングについて学びたい」と、進路を決めるときの判断材料などに繋がる可能性もあります。
小学生におすすめのプログラミング言語は?
数多くあるプログラミング言語の中でも、小学生におすすめの言語をご紹介します。
Viscuit(ビスケット)
Viscuit(ビスケット)は、幼稚園生から小学生以上の方まで、幅広い年齢の方が理解しやすいビジュアルプログラミング言語です。
ビジュアルプログラミング言語とは、英数字のコードではなく、ブロックなどを操作しながら、感覚的にプログラミングができる言語のことです。
例えば、タブレットのペイントツールでイラストを描き、そのイラストを動かすことでプログラミングをすることができます。
Viscuit(ビスケット)は、公式サイトにアクセスするだけで、誰でもすぐに使用可能です。
遊び方について解説している動画も載っているため、気になった場合は気軽に試してみましょう。
Scratch(スクラッチ)
Scratch(スクラッチ)は、ゲームやアニメーションなどを作ることができるビジュアルプログラミング言語です。
主に8歳~16歳を対象として作られているため、小学生のプログラミング学習にもぴったりで、プログラミング教室などでよく活用されているプログラミング言語です。
使用するのは主にマウスであるため、プログラミングに慣れていない方はもちろんのこと、パソコン初心者の小学生でも、簡単に操作できます。
Unity (ユニティ)で使用されている言語
Unity (ユニティ)は、ゲームの開発ツールの一つです。
ゲーム会社などプロの現場でも活用されています。
小学生であっても、プログラミングに慣れれば、Unity (ユニティ)を使ってゲームを作ることが可能です。
Unity (ユニティ)に対応しているプログラミング言語は、C#です。
また、「ゲーム作り」はゲームの企画、素材の制作、ゲームの難易度の調整などを通して、より深くプログラミング言語や論理的な思考力を身につけることにも繋がるでしょう。
LITALICOワンダーならこれらのプログラミング言語が楽しく学べます!
LITALICOワンダーのプログラミング教室では、プログラミング言語を楽しく学ぶことができます。
例えば、「ゲーム&アプリプログラミングコース」では、Viscuit(ビスケット)やScratch(スクラッチ)を使って学習します。
また、「ゲーム&アプリエキスパートコース」の場合は、Unity (ユニティ)を使用するため、本格的なプログラミング言語を使うこともあります。
お子さんのスキルに合わせて、プログラミング言語を選べるため、「授業についていけなくなって、通うのを嫌がる」という状況を防ぐことが可能です。
もしも、小学生のお子さんにプログラミング言語を学ばせたいものの「何をすればいいのかわからない」と感じたら、ぜひ一度、LITALICOワンダーにご相談ください。
小学生のプログラミング教材や勉強法は?
小学生が活用できるプログラミング教材や、勉強法について見ていきましょう。
小学生のプログラミングの勉強法は?
まず、小学生がプログラミングを学習する方法は大きく二つに分かれます。
- 人から教えてもらう(教室に通う など)
- 自分で勉強する(学習サイト・ゲーム・本 など)
一つ目は、プログラミング教室などに通い、人からサポートしてもらいつつ学ぶ方法です。
教室まで通えない場合は、オンラインでレッスンを受けられるパターンもあります。
そして、二つ目の学習方法は独学です。
最近は、プログラミング学習用の教材が充実しているため、自宅でプログラミング学習を進めることも可能です。
また、プログラミングについて学べる本(漫画)やゲーム・アプリもあります。
プログラミング初心者の小学生の場合、まずは、親しみやすさやわかりやすさを重視して学習ツール(教材やゲームなど)を選ぶと良いでしょう。
小学生におすすめのプログラミング教材
小学生におすすめのプログラミング教材を3つピックアップしてご紹介します。
レゴ®エデュケーションSPIKE™ベーシック
レゴ®エデュケーションSPIKE™ベーシックは、STEAM教育(文系や理系といった枠にとらわれず、横断的に学び、問題解決能力などを育む教育)の教材として活用されています。
レゴブロックを使いながら、機械が動く仕組みについて楽しく学びたい小学校低学年・中学年のお子さんにおすすめです。
ただし、基本的に、レゴスクールやプログラミング教室などの教育現場で活用されている教材であるため、まずは、自宅付近に取り扱っているスクールがないか探してみましょう。
ちなみに、LITALICOワンダーのプログラミング教室では「ロボットクリエイトコース」の中で、レゴ®エデュケーションSPIKE™ベーシックを使用しています。
コースや教材、授業内容について、気になる点がある方はお気軽にお問い合わせくださいませ。
画像引用:LEGO education
CodeMonkey(コードモンキー)
CodeMonkey(コードモンキー)は、ゲーム感覚でプログラミングを学びたい小学生におすすめのサイトです。
「主人公のサルが奪われたバナナを取り返す冒険に出る」というストーリーを進めていく中で、プログラミングの仕組みを学習することができます。
推奨年齢は、小学校三年生~五年生です。
30ステージまでは無料で遊べるため、気軽に挑戦してみましょう。
画像引用:CODEMONKEY
Progate(プロゲート)
プロゲートはイラスト中心のスライドを見て、プログラミングを学べるサイトです。
WEBサイト上に公開されている他、アプリも配信されているため、どこでも気軽に学習できます。
受講者は、カラフルなスライドを見て説明を理解し、その後、手を動かして実践していきます。
入力したプログラムに誤りがあった場合、「どこがおかしいのか」わかりやすく指摘してくれるため、学習しやすい点が特徴です。
その他、「経験値」や「レベルアップ」などのシステムがあるため、小学生がゲーム感覚で学びやすい点も魅力の一つです。興味のある方は、無料プランを試してみましょう。
画像引用:Progate
小学生がプログラミング教室に通うメリットは?
プログラミング学習をすることで、問題解決能力や計画性などのスキルが養われることは「小学生がプログラミングを学習するメリット」の項目でお伝えしました。
ここでは、小学生が独学ではなくプログラミング教室に通うことで得られるメリットについてご紹介します。
プログラミングスキル以外の力が身につく
プログラミング教室に通うと、先生やクラスメイトとの関わりが自然に生まれるため、さまざまな力が身につくことに期待できます。
- わからないことを質問する力
- 人と交流する力(コミュニケーション能力)
- わかりやすく説明する力(プレゼンテーション能力) など
また、小学校以外の場で友達ができたり、クラスメイトから刺激を受けてモチベーションが上がったりすることもあるかもしれません。
とくに、人と関わることが好きな子どもの場合は「独学よりも楽しく学べる」というメリットが得られるでしょう。
挫折しにくくなる
小学生が教材を使って独学でプログラミングを学ぶことは決して不可能ではありません。
しかし、わからないところをすべて自力で解決することが難しい場合もあります。
上記のようなとき、身近にフォローできる人がいないと「もういいや」と投げ出してしまうことがあるかもしれません。
また「プログラミングは難しい」「自分には向いていないかも」と苦手意識が生まれてしまう可能性も考えられます。
一方、プログラミング教室の場合は、お子さんが答えにたどり着けるよう、導いてくれる先生がいるため、挫折しにくいというメリットがあります。
LITALICOワンダーのプログラミング教室とは?
LITALICOワンダーのプログラミング教室は、5歳から高校生に向けて、想像力や発想力をぐんぐん伸ばせるような授業をおこなっています。
「ゲーム&アプリプログラミングコース」や「ロボットテクニカルコース」など、コースが複数あるため、お子さんの興味やプログラミングのスキルに合った授業を選択可能です。
また、大きな特徴は、一人ひとりに合わせて授業内容を柔軟に合わせていることです。
例えば、ゲームが好きなAくんの場合は「ビジュアルプログラミング言語のScratch(スクラッチ)を使い、ゲーム制作に取り組む」、パソコン初心者のBちゃんの場合は「パソコンになれるためにマウス操作で簡単なゲームを作るところからスタート」などの例が挙げられます。
黒板に向かって整列してプログラミングの授業を受ける講義形式ではないため、お子さんが自分のペースを大切にしながら、のびのび学べる環境が整っています。
プログラミングの無料体験もできる
プログラミング教室に興味はあっても「どんな授業をするのかな?」などの疑問や「雰囲気に馴染めるかわからない」などの不安を抱いている方も多いはずです。
LITALICOワンダーのプログラミング教室では、無料の体験授業を開催しています。
東京・千葉・神奈川・埼玉の教室に通う他、オンライン授業にも対応しているため、カメラ付きのパソコンとネット環境があれば、全国どこからでも参加可能です。
オンラインのプログラミング授業でも、対面式と同じように先生と生徒は顔を合わせながら、画面を共有しつつ授業を進めます。
もちろん、わからないことがあれば、すぐに質問できる環境です。
もしも、プログラミングのオンライン授業や体験レッスンについて気になることがある場合は、電話もしくは「無料体験を予約」または「資料請求」からお問合せください。
小学校のプログラミングについてのまとめ
プログラミング学習は、2020年に小学校で必修化された影響もあり、今後ますます注目されていくと考えられます。
また、IT化が進む時代の中、小学生のうちからプログラミング教室や教材で学ぶことは、中学校や高校の授業に備えることになるのはもちろん、将来的に役立つ思考やスキルを伸ばすチャンスを広げることにも繋がるでしょう。
ただし、プログラミング教室や教材は多数あるため、まずは資料を取り寄せたり、体験教室に参加してみたりして、相性が良さそうか見極めることが大切です。