最終更新日:2023.11.14
公開日:2022.09.02
- プログラミング言語
- Scratch(スクラッチ)
Scratch(スクラッチ)でできること|プログラミングで遊びながら身につく力とは?

プログラミング教育が必修化し、子どもにプログラミングを学ばせたいと考えている方も多くなっています。
しかし、プログラミングと聞くと難しいというイメージがあり、子ども向けの学習教材はないかと探している方もいるのではないでしょうか?
プログラミング教材の一つである「Scratch(スクラッチ)」は、子ども向けに開発されたプログラミング学習ツールで、世界中の教育現場で取り入れられています。
この記事ではScratchでどんなことができるか、教育現場で使われる理由、子どもが学べることやその使い方を説明します。
Scratch(スクラッチ)とは?

Scratchはマサチューセッツ工科大学(MIT)のメディアラボで開発された、子ども向けのプログラミング言語です。
200か所以上の国と地域で利用されていて、日本語も含めた70以上の言語に対応しているなど、世界中で人気のプログラミング言語になっています。
Scratchはプログラミング言語のなかでも「ビジュアルプログラミング言語」といって、複雑な操作は必要なく、マウス操作や指でのタッチ操作でゲーム制作ができるという特徴があります。
ビジュアルプログラミング言語とは、マウスやタッチ操作でブロックをつなげるなど、視覚的にプログラミングがおこなえる言語のことで、初めてプログラミングを学習する子どもにも扱いやすいプログラミング言語といえます。
また、無料で利用できることや、パソコンやタブレットなどインターネット環境があればすぐ開始できるという手軽さもあって、数多くの教育現場にも取り入れられています。
Scratchのオンラインコミュニティ上では、他の人の作品がたくさん公開されていて、自由に楽しむことができるのも特徴です。
また同様に自分のゲームも公開できるので、いろいろな刺激を受けながらプログラミングを学んでいくことができます。
対象年齢は8歳から16歳と小学校低学年からとなっていますが、大人にも楽しめるつくりとなっています。
また、もっと幼い子ども向けとして、5歳から7歳向けのScratch Jr(スクラッチジュニア)も用意されています。
Scratch(スクラッチ)でできること
Scratchを使ってできることとしては
- ゲーム制作ができる
- プログラミングの基礎が学べる
- アニメーションがつくれる
- 作品をインターネット上に公開できる
- 他の人が公開した作品を遊んだり、改良することができる
- ネットリテラシーを身につけることができる
といったことが挙げられます。それぞれ詳細を見ていきましょう。
ゲーム制作ができる

Scratchではさまざまな色のブロックを組み合わせることで、ゲームを作っていくことができます。
特別なプログラミング言語などを使う必要がないため、知識のない子どもにもすぐにゲーム制作が可能です。
Scratchでのゲーム制作方法について一例を紹介すると、あるキャラクターを選択し、「スペースキーを押すと」というブロックと、「10歩動く」というブロックを組み合わせることで、「スペースキーを押すとキャラクターが10歩動く」、という動作をさせることができます。

こういった動作をいくつも組み合わせることで、キャラクターがジャンプをしたり、敵と戦ったりと複雑な動作をするゲームを制作していきます。
また、キャラクターや背景なども用意されているものだけでなく自分で作成することができ、自分だけのオリジナルなゲームを作ることができるなど、自由度の高さもその魅力となっています。
プログラミングの基礎が学べる
Scratchでブロックを組み合わせてゲームを作ることで、楽しみながらプログラミングの基礎が学べます。
プログラミングとは「コンピュータに、特定の動作の指示をすること」ですが、人間相手とは違って一つひとつの指示を細かく順番通りにする必要があります。
例えばご飯を食べるという動作をとっても、「右手ではしを持つ」「左手で茶碗を持つ」「ご飯をはしに乗せる」「口を開ける」「口の中に入れる」…など順番に一つひとつ指示をしなくてはなりません。
「口を開ける」と「口の中に入れる」の順番が逆になると、口を閉じたままご飯を口の中に入れようとしてしまい、目的を達成できません。
一方、これが人間だったら「ご飯を口の中に入れるためには、口を開く必要があるな」と判断して、自然と口を開くと思います。
このように、人間だったら当然こうするだろう、ということがコンピュータにはないので、プログラミングするためには、普段と違った思考力が必要となります。
Scratchでゲームを作るときも同様な思考力を用いることになるので、子どもは楽しくゲームを作っていると思っていても、自然とプログラミングの基礎を学ぶことができます。
いきなり本格的なプログラミングから始めると、「一文字違っただけで動かない」「原因がわからない不具合が出た」というようなつまずきがあって、そこで諦めてしまう可能性もあります。
Scratchは感覚的な操作でキャラクターを動かせるので、まずはScratchで楽しみながら慣れておくとそのあと本格的におこなう上でも役に立つでしょう。
プログラミング教育が必修化された現在では、子どものうちからプログラミングに慣れておくことはとても重要なことだといえます。
ネットリテラシーを身につけることができる
Scratchでは、個人でゲームを作成するだけでなく、Scratchユーザー同士のコミュニティに参加することができます。
コミュニティでは世界各地の人とコミュニケーションを取りながら、Scratchで作成したゲームの情報のやり取りなどが行えます。
小さい子どもがインターネット上のコミュニティに入ることに、不安を覚える方もいるかと思います。
しかし、Scratchコミュニティでは子どもが使うことを想定した「コミュニティガイドライン」を整えていて、安全な状況でコミュニケーションをとることができます。
ガイドラインには「誰にでも敬意をもって接する」「個人情報や連絡先を公開しない」など、ネットリテラシーとして大事なことが定められています。
子どもがこういったガイドラインにそってコミュニケーションをしていくことで、自然とネットリテラシーも身につけることにつながります。
インターネットやSNSを通じたコミュニケーションは、現代では避けては通れないものとなっています。
そのため、子どものころからその適切な使い方である、ネットリテラシーを身につけておくことも重要になってきているといえます。
Scratch(スクラッチ)がプログラミング教育で使われている理由
Scratchは数多くの学校やプログラミングスクールで、プログラミング教育の教材として使われています。
Scratchが多くの教育現場で取り入れられている理由として、
- 子どもにも操作がしやすい
- 導入がしやすい
- 子どもそれぞれの楽しみ方がある
といったものがありますので、ここで順番に紹介していきます。
子どもにも操作がしやすい

Scratchが子どもにも操作がしやすいのは、ビジュアルプログラミング言語だからです。
ビジュアルプログラミング言語とは、テキストではなく、視覚化されたブロックなどを使ってプログラミングをするものです。
プログラミングというと、キーボードでテキストをひたすら打ち込んでいく、といったイメージを持つ方もいると思いますが、Scratchではカラフルなブロックをマウス操作やタッチ操作でつなげていくことで、プログラミングをすることができます。
Scratchではブロックの色ごとに「動き」「音」「イベント」などに分類されていて、それらのブロックをマウス操作やタッチ操作で組み合わせていくことで、自分の思い通りにキャラクターなどを動かすことができます。
例えば、あるキャラクターを選択して、動きブロックの「10歩動かす」と、イベントブロックの「スペースキーを押す」を組み合わせると、スペースキーを押すとキャラクターを10歩動かすことができるようになります。
このように、色や文字で分類されたブロックを組み合わせるだけで、直感的に操作できるので、子どもにもすぐに何をするかがわかるようになります。
また、Scratchではブロックを組み合わせたら、その場で効果を試すことができます。
自分の行動の結果がすぐにわかることも、子どもが飽きずに続けられる要因といえるでしょう。
ブロック内の文字も多言語から日本語表記を選択でき、漢字とひらがなの表示も切り替えられるため、幅広い年齢の子どもが楽しむことができています。
導入がしやすい
Scratchはパソコンやタブレットといった端末と、インターネット環境があれば利用できます。
このように導入がしやすい点も、教育現場で取り入れられている理由の一つです。
文部科学省が進めている「GIGAスクール構想」により、現在は小学校でも生徒一人ひとりに、タブレットなどの端末が配布されていることも多くあり、環境は整っているといえます。
Scratchはインターネットにつなげて使うことが基本ですが、アプリをダウンロードすることで、オフライン(インターネットにつながっていない状況)でも利用することができます。
インターネット環境が整備されていない学校もまだまだあるため、オフラインで利用できることも、教育現場で使われる理由といえるでしょう。
また、Scratchは無料で使うことができるため、コスト面でも導入がしやすい点も挙げられます。
子どもそれぞれの楽しみ方がある
この記事では、主にゲーム制作について書いてきましたが、scratchは子どもの数だけ楽しみ方がある、というのも教育現場に取り入れられている理由の一つです。
- 絵を描いてアニメーションを作ったり
- クイズや迷路を作ったり
- ゲームの機能をとことん詰めていったり
というように、子どもが「したい!」と思ったことを表現できる自由さがあるので、ゲームに興味がない子どもであっても楽しみながらプログラミングを学ぶことができます。
Scratch(スクラッチ)のプログラミングで身につく力とは?

Scratchは子どもにも使いやすく、教育現場にも取り入れられていると紹介してきました。
それでは、Scratchを通して子どもはどんなことを学べるかも見ていきましょう。
Scratchで学べることとしては
- 創造力
- 論理的思考力
- 問題解決能力
などが挙げられます。それぞれ紹介していきます。
創造力
Scratchでゲーム制作を通してアイデアを形にすることによって、創造力が養われます。
Scratchではどんなゲームを作りたいか、キャラクターをどのように動かしたいか、といったアイデアが必要になります。
そのアイデアをブロックを組み合わせて実行するという、視覚的にもわかりやすい方法で実現することによって、子どもにとって成功体験となります。
成功体験を積み重ねていくことで、ものを作ることに達成感ややりがいを感じるようになり、そのことが創造力の育成につながってきます。
論理的思考力
Scratchでのゲーム制作を通して、子どもの論理的思考力の向上も期待できます。
キャラクターを思い通りに動かすためにも、どの順番でブロックを組み合わせていったらいいのかを考えることになります。
また、ゲームを完成させるためには、完成形をイメージして、そこからどの順番で何をすべきかを組み立てていくことも大事になってきます。
このように、Scratchのゲーム制作を通して、子どもは常に論理的に考え続けている状態のため、ゲームを完成させるたびに論理的思考力が身についていくでしょう。
問題解決能力
Scratchは試行錯誤を繰り返すため、問題解決能力も学ぶことができます。
Scratchのゲーム制作では、うまく行かなかったときはブロックを組み替えて、また実行するという操作をすぐにおこなうことができます。
ゲーム制作はデジタルデータなので、失敗してやめてしまうのではなく、「じゃあ次はこうしよう」と問題を解決するために次々と試していくことが容易となっています。
こういった試行錯誤(トライアンドエラー)しながら問題を解決していく能力は、学校生活や、社会に出たあとになにか問題が起こったときにも応用することができる力といえます。
Scratch(スクラッチ)の遊び方
ここでは実際にScratchを始めるための手順と、ゲームを作るための使い方を紹介します。
必要なのは以下の2つです。
- Scratch対応の端末
- Scratch対応のブラウザ
Scratch対応の端末
端末とはScratchの画面を表示したり、実際に操作するための電子機器のことです。
Scratchを利用するにはパソコンかタブレット端末が必要です。
現時点ではスマホには対応していませんので、注意が必要となります。
(スマホでも作った作品を表示させることだけは可能です。)
Scratch対応のブラウザ
ブラウザとはインターネットを閲覧・操作するためのソフトウェアのことです。
現時点ではGoogle Chrome、Microsoft Edge、Firefox、Safariに対応しています。
Scratchはブラウザでインターネットに接続した状態で利用することができます。
Scratchの始め方

Scratchは、対応した端末を使って、対応したブラウザでスクラッチの公式サイトにアクセスすることで利用できます。
Scratch公式サイトにアクセスして、上部にある「作る」という文字をクリックすると、「プロジェクト」と呼ばれるゲーム制作画面が開きます。
これだけで利用開始することができるため、子どもにもすぐにScratchを始めることが可能です。
また、会員登録することでプロジェクトの保存やコミュニティへの参加ができるようになります。
登録はニックネーム(本名は使わないようにと注意書きがあります)、メールアドレス、パスワードの設定のみでおこなえます。
まずは登録せずに触ってみて、子どもが楽しんで取り組んでいるようであれば登録するといいでしょう。
オフラインで使えるアプリもある
Scratchはインターネットにつながっていなくても利用できる、アプリ版もあります。
基本的な機能はブラウザ版と違いはありません。
子どもが使うときに、インターネットにつないでいるのは不安がある、という方はアプリ版を利用するといいでしょう。
Scratchの使い方
実際にScratchをどのように使ってゲームを制作するのか紹介していきます。
まずは触らせてみる
Scratchを使ってゲームを制作するには、まずは自由に触らせてみるといいでしょう。
Scratchはブロックを組み合わせるという直感的な操作のため、初めて画面を見る子どもにも、何をするのかわかりやすいという特徴があります。
ブロックは色分けされ、全て日本語で書かれているため、文字が読める子どもであればすぐに取りかかれると思います。
日本語も漢字とひらがなを切り替えることができるため、子どもに合わせて設定しておくといいでしょう。
まずはScratchを触っていろいろと試して、キャラクターがプログラミングによって動くことに楽しさを感じてもらうことが大事です。
チュートリアルで学ぶ
Scratchは触っているだけでも、ブロック遊びのような楽しさがありますが、次第に難しさを感じてくると思います。
複雑な動きをさせようとすると「どうブロックを組み合わせたらいいのかわからない」ということが起きてきます。
そういったときのためにScratchはチュートリアル(説明ガイド)が充実しています。
公式サイトの上部にある「アイデア」という文字をクリックした先で、「チュートリアルを選ぶ」を更にクリックすると、チュートリアルの一覧が出てきます。
チュートリアルはすべて動画で操作方法の説明があります。
種類として、初心者用のものから、「追跡ゲームを作ろう」「物語を作ろう」など具体的なゲーム制作ができるものまであります。
チュートリアルにしたがって操作することで、初心者にもゲームを完成させる体験をすることができます。
ゲームを完成させたことが成功体験となり、「また作りたい!」という意欲にもつながってきます。
他の人の作品を見る
Scratchは他の人の作品を見て学ぶこともできます。
公式サイト上部の「見る」をクリックすると、世界中の人が作ったゲームを見ることができます。
他の人の作品を実際にプレイすることもできますが、特徴的なのは「中を見る」をクリックすると、そのゲームがどのようにプログラミングされているかを見ることができる点です。
プレイしてみて「このゲームどうやって作っているんだろう」と思ったら、中を見ることでプログラム方法が学べて、自分が作っているゲームに反映させることが可能です。
そうやって興味を持って調べることで、Scratchでのゲーム制作がどんどん上達していき、プログラミングスキルも高まっていきます。
Scratch(スクラッチ)が学べるプログラミング教室はある?
子どもがScratchでゲームを作っていると、もっと複雑で高度なゲームを作りたいと感じるようになってくることでしょう。
Scratchは自由度の高いツールである反面、複雑なゲームを作ろうと思ったときにどうしていいのかわからなくなってしまうことがあります。
そういったときはScratchを扱っているプログラミングスクールに通うことで、Scratchをよく知る講師やスタッフにサポートしてもらうことや、同じスクールに通う子どもと情報交換することができます。
子どもと保護者だけでなく、さまざまな人と関わりあうことで、より高度なゲーム制作ができ、コミュニケーションのスキルも向上していくことが期待できます。
子ども向けプログラミング教室のLITALICOワンダーは、Scratchをはじめとしたさまざまなツールを使い、子どもが楽しみながらプログラミングを学べる環境が整っています。
子ども一人ひとりの興味やスキルに合わせオーダーメイドでカリキュラムを設計し授業をおこなっています。
子どもがどんなゲームを作りたいのか、現在のスキルはどの程度かなどを随時ヒアリングしながら、子ども自身に最適な方法で学びをサポートしています。
ゲームで遊ぶことや動画が大好きなお子さんは、ぜひ一度お気軽に無料体験に遊びに来てください。

Scratch(スクラッチ)でできることのまとめ
Scratchは世界中の教育現場で取り入れられている、子ども向けのプログラミング学習ツールです。
マウス操作やタッチ操作で、カラフルなブロックをつなげていくだけで簡単にゲームが作れるため、子どもにも直感的に操作ができます。
Scratchでゲームを作成することで論理的思考力や創造力など、子どもの将来に生きるスキルを身につける効果が期待できます。
パソコンやインターネット環境があればすぐに始めることができるため、子どもにプログラミングを学ばせてみたいという方は、一度試してみてはいかがでしょうか?
LITALICOワンダーはScratchをはじめとして、楽しみながらプログラミングを学ぶことができる子ども向けプログラミング教室です。
教室とオンラインで無料体験をおこなっているので、スタッフのサポートを受けながらScratchを試してみたいという方はぜひ一度ご参加ください。